春とはいえ関東以北の山は天候が崩れると、4月でも雪が降ります。
3月27日、栃木県那須町のスキー場で県立大田原高校の生徒7名と29歳の教師が雪崩に巻き込まれて亡くなりました。
尊い命が失われ、同じ日本人として悲しく思います。
その春山講習での雪崩事故を受け、私の住む県でも学校関係者に、高校生の冬山登山は禁止の緊急連絡がなされました。
テレビや新聞で、お亡くなりになった8名のさわやかな好青年ぶりを見て、思わず「いだわしい……」と、声が出ました。
「いだわしい」は、御労(おいたわ)しいがなまった言葉。
気の毒で同情せずにはいられないという心情のとき言う、東北地方の方言です。
亡くなった高校生たちはさぞ無念だったことでしょう。
そして、親御さんもお気のどく過ぎます。
天塩にかけて育てた我が子が命を失った、それはひどいショックに違いません。ひとり息子さんを亡くされた方もいるそうです。
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山は油断できない
雪崩事故は、雪国では決して少ないことではありません。
私の知り合いも、仲間を亡くしています。16年前、地元の冬山で山スキーをしていたところ、表層雪崩が発生。
今回のように、前日までは天気がよかったものの深夜から朝にかけて新雪が10センチ以上降ったのです。
違うのは雪崩注意報がでていなかったこと。
雪崩注意報や警報が出なくても、発生することがあるのが雪崩です。40代と60代の男性2名が亡くなり、生き残った側の知り合いは当時、マスコミ等から責められ、非常に苦しい心境に追いやられました。
山のベテランだったのです。
「なぜあのコースを選んだのか」
悔やんでも悔やみきれない。
一瞬のことだったそうです。
雪崩のときは手で口を覆う
那須町のスキー場での事故は、新雪が積もり吹雪の中で「ラッセル訓練」を行い、そのさなかに雪崩が発生しました。3月27日午前8時半ごろ。
雪はたいへん重いものですから、仮に体の上に1メートルの雪がのると5トンの圧力がかかるという説もあります。
亡くなった方々は圧死。そしてケガをした高校生も多く、骨折など重傷です。
雪崩に遭ったら伏せるのではなく、泳ぐように手を動かし、顔の前に空間を確保したほうが良いと聞きました。
そして手で口を覆い、呼吸する空間を確保する。
助かる率が高まります。
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夏山も天候の急変に注意
私の地元には、明治35年(1902)に冬山演習で兵隊が210名中199名凍死した八甲田山連峰がそびえています。
八甲田雪中行軍は軍事訓練。犠牲者の多さと、生き残っても凍傷のため手足を失うという悲惨さで歴史に刻まれました。
- 強い寒波が襲来していた。
- 歩兵の装備が軽かった。
- 野営のなか寒さに凍えた。
- 案内人のアドバイスをきかずに強行した
軍隊での事故ということで、後世になって色々なことが明らかに。
現在、地元ではひどい吹雪のときは外出を控えるのが一般的です、視界がきかないホワイトアウト状態は特に。
夏には私もハイキングで山へ行くことがあり、風景と花がきれいですが、ベストシーズンでも天気が急変したり、気温がびっくりするくらい低かったりします。
八甲田に限らず、どこの夏山でも低体温症になることがあるのです。
山はいつだって油断できません。
まとめ
新雪が積もり、天候が荒れていなければ、若者たちは命をなくすことがなかったはず。将来有望な方たちが犠牲となりました。惜しまれてなりません。
高校生と先生のご冥福を心から祈ります。
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