2020/08/01更新しました。
知人が自分の母親の一周忌について、こんなことを語りました。
「菩提寺にお経をあげてほしいと頼んだ。前の晩と当日の午前中の2回、読経をお願いしたら、お布施がけっこう高くてさー」
その知人は夫の幼なじみ。
年齢は50代半ばのオジサンです。
大腸がんの手術をしたり、糖尿病になったりで入退院もしばしば。
しかも、結婚が遅かったため、大学生の息子と高校生になったばかりの娘さんがいます。
教育費がかかる時期なので、親の供養とはいえお布施などの出費は痛いでしょう。
私はずばり聞きました。お寺さんにいくら納めるの?と。
「58,000円。住職がきっぱりとそう言うんだ。よそのお寺は『お気持ちでいいですよ』と遠慮がちにするのに。うちの寺はなんでも高いんだよ」
その寺の内情を私もよく知っていました。
なぜなら、私の実家と同じ禅寺だからです。
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火事で焼失し、再建
会話は葬儀についても話が及びました。
「戒名は安いのを頂いた。
87歳で亡くなった母親は生前、戒名にはこだわらなくてもいいと言ったから」と、知人。
葬儀費用の前に、その寺について書き添えたいことがあります。
20年前、火災で全焼しました。
それも、住職が愛人とヨーロッパ旅行に出かけて、留守中に出火。
江戸時代からの由緒ある本堂ならびに位牌堂もすべて焼失し、それから5年以上の年月を掛けて最寄り駅から離れた、へんぴな山の方に建て直したのです。
バスや電車の路線がないため、車がないお年寄りが最寄り駅からタクシーを使うと、往復だけで5000円はかかるでしょう。
とても立派なお寺を再建し、檀家からたくさんの寄付金を集めましたが、建設費に足りません。
寄付の追加をお願いしたため、多くの檀家が違う寺へ移りました。
つまり、檀家が減ったのです。
東北の田舎町。人口減少がつづくなかで、お寺と墓地が異様に立派という景観を思い浮かべてください。
何か空しくないでしょうか。
葬儀費用の平均は?
一般的な葬儀には3つの費用がかかるとされます。
およその全国平均を調べました。
- 通夜からの飲食接待費:45.5万円
- 寺院の費用:お布施や戒名代など:51.4万円
- 葬儀一式(棺桶、通夜や葬式費用など):126.7万円
合わせて約200万円
これは平均なので、地方によりかなり違うでしょう。
ちなみに私が住む県は、葬儀にお金をかけるケースが多く、県の平均は平成24年ころで260万円だったと記憶しています。
親戚が供えるお花や供物も盛大であればあるほど立派という考え方が根強くて、3万円以上の花篭もよく見かけます。
けれども、最近はお金をあまりかけない方向へ移行しつつあります。
老いた親が亡くなったときの葬儀費用も心配です。
一周忌の平均は?
一周忌のお布施は3万円~5万円が多いようです。
知人の言う58,000円は確かに少し高め。
お布施のほか、自宅へ来てもらうには送迎が必要。
僧侶が自分で運転してきたら、お膳の料理を持たせて、ガソリン代としてお布施とは別にお包みする。そういうことは私の地元ではふつうのことです。
というか、常識。
それをやらないと、後でいろいろな噂をまき散らかされるケースも。
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3周忌・7回忌は?
法要は一周忌だけではありません。
3周忌、7回忌、13回忌、27回忌、33回忌、50回忌……。
大半の日本人は先祖崇拝の思いが篤かったので、菩提寺の和尚にそのつどお布施をお包みして、読経をお願いしてきました。
毎回、お布施がかかります。
宗教法人と税金は?
私の実家の禅寺ではかつて、住職は普段ベンツに乗って、さらに海外へ愛人と渡航するくらい裕福な暮らしぶりでした。
なぜ贅沢ができるのか?
- 宗教法人は課税対象とならず、優遇されている
- 寺が持っている境内・本堂・位牌堂ならびに墓地や霊園は固定資産も非課税。
- 営業車扱いで、寺で使用する車が非課税のことが多い。
いまではベンツなど高級外車は寺の所有としても、認められないそうです。
そして、お坊さんが宗教法人から給与を受けているケースは、所得税や住民税を払う義務が生じ、国民年金と国民健康保険も加入の必要があります。
500万円のお布施を請求されることも
企業オーナーや会長が亡くなると、社葬を執り行うことがあります。
有名な企業だと僧侶が4人も5人もきて読経することもあるでしょう。
そういうケースだと、お布施は500万円とかあるいは1000万円にはねあがることもあり得るそうです。
開運グッズでぼろ儲け
あなたは、スピリチュアルなものや霊的なものに関心がありますか?
私はけっこう好きで、お寺や霊場巡りにはまった時期がありました。
近隣の神社仏閣を巡ることが多く、日本三大霊場のうち、私がお参りしたのは恐山だけ。
恐山も近年は近代化されて、昔のようなおどろおどろしい雰囲気は薄れた感があります。
さて、こんな記事を見ました。
山深くに建つ寺は、あきれるほど世俗の垢(あか)にまみれていた。
開運商法で得た所得を隠し1億円以上を脱税したとして、大阪市の開運グッズ販売会社元幹部らが大阪地検特捜部に逮捕、起訴された。元幹部らのグループは寺を所有する宗教法人を買収し、逮捕直前まで開運ブレスレットの販売や祈祷(きとう)サービスなどの開運商法を展開。
法外な請求を消費者側に突き付ける一方、仲間割れによる金銭トラブルを司法の場にまで持ち込んでいた。宗教法人とは名ばかりの「カネと欲」だけで結ばれた内部の人間模様が、事件を通じて明らかになった。
■宗教の壁、脱税で突破 「縁結び祈願 縁切り祈願」 三重県菰野(こもの)町の近鉄湯の山温泉駅で下車し、駅のすぐ脇に掲示された案内板に従って山道を登ること約700メートル。突き当たりで2体の仁王像の出迎えを受ける。周囲には宿泊施設や民家が点在するものの、人影はほとんど見当たらない。そばの川の流れだけが響く閑静な霊場「福富寺」が、グループの活動拠点となった。
法人税法違反容疑で逮捕、起訴されたのは、開運グッズ販売会社「アドライン」(解散)の元実質経営者、河本大介被告(34)ら4人。福富寺の元檀家(だんか)総代の男性も逮捕されたが、後に起訴猶予となった。起訴状によると、4人は平成22年4月~23年10月、福富寺からの架空仕入れを計上する手口で、アドライン社など2社の所得約3億7700万円を隠し、法人税約1億1千万円を免れたとされる。
開運商法は一般的に、詐欺罪で立件するにはハードルが高いといわれる。販売業者が商品に効能がないと認識していたことを立証する必要がある上、泣き寝入りする被害者が多いため、被害実態を解明するのが難しいためだ。 "> ましてや、法令によって権力の過度の介入が制限される「宗教法人」という壁-。大阪国税局が今回、脱税事件として大阪地検特捜部に告発したことで、捜査のメスが入った。
また、ニセ僧侶も現われています。
東京・秋葉原では中国人のニセ僧侶が、寺の建立のためと称して、寄付金を集めていました。世界中にネットワークがある詐欺集団が関与しているとか。
宗教トラブルが多い理由
20年以上前、オウム真理教が起こした数々の重大な事件を私は忘れることはできません。
救うと見せかけて信者を破滅させ、少なくない人々を殺害し、駅や電車内に猛毒サリンをまきました。
通勤途中の方が大勢、事件に巻き込まれて亡くなった方がいますし、後遺症に苦しむ方もいます。
国家を転覆させて、自分たちが権力を握ろうと画策していたとされます。
なぜ、そんな危険な思想に染まったのでしょう。
洗脳されてしまうと、大学院を卒業した若者や医師・科学者でも麻原のような教祖の言いなりになる。
人の精神はもろいものなのです。
自分は大丈夫と思っていても、なにかの拍子にすがりたい気持ちが芽生えるかもしれません。
葬儀費用はなぜ高い?
日本の葬儀費用が世界のどこよりも高いのは、理由があるでしょう。
- 慣習のせい。
- 肉親の死により家族が悲嘆したり、ショックを受けたりして心が弱っているときに、葬儀など仏事を執り行うため、葬儀屋の言う通りになりやすく、じっくり考えることができない。
- 格式の戒名や多額のお布施をすれば、故人の成仏が叶うと信じ込まされている。
まとめ
盛大な葬儀を執り行い、立派なお墓を建立するのが親孝行。そんな刷り込みはもうイヤだなと、心から思うところです。
「仏式だと葬式代が高いから、キリスト教にしようかしら」
これは実際に私が聞いた言葉です。
イオンでは僧侶を派遣するサービスを始めていますが、まだそんなに普及していません。
占いサイトや開運グッズは儲け主義ですから、はまると多額のお金を失う危険があります。
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