2022/01/18更新しました。
私は自営業の家に生まれ育ち、結婚した相手も自営業者です。
日銭を稼いで暮らすため、世間が年末年始だ、ゴールディンウィークだと浮かれていても黙々と営業。
閑古鳥が店内をぱたぱたと羽ばたいても、じっと店番をしています。
さて、そんな私に忘れられない言葉を掛けた、かつてのクラスメイトがいました。
「商売どんでら? 稼ぎ少ねぐて、住宅ローンの支払いが大変だべ。吹けば飛ぶような、小せえ店だもんな~」
数年ぶりに会ったら、いきなりのご挨拶。
しかも満座のなか大きな声で言われ、私は呆気に取られ、言葉が出ません。
確かに売り上げは落ちていますが、住宅ローンは滞ることなく払ってきました。
こんな言い草、いくらクラスメイトでも失礼じゃないですか?
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地方公務員、地元では貴族
彼女は33歳で結婚し、相手はふたつ年上の市役所職員。
仮にP子さんとしましょう。
彼女は短大を卒業すると医療機器の会社で事務員として働き、玉の輿に乗る機会を狙っていました。
ただ、都会と違い東北の片田舎のため、玉の輿といっても先祖代々から土地を受け継ぐ旧家、中小企業の若社長、医師、歯科医と極めて限られているのが実情です。
私が若いときは土地・家付きなら、舅や姑がもれなく付いてくるのが当たり前。
大きな家になればなるほど、三つ指をついてかしこまって暮らすことに。
面倒くさいことが嫌いなP子さんが選びに選び抜いて結婚した相手は、35歳の市役所に勤める男性。次男です。
「彼はね、家柄が良いのよ! だって公務員だもん」
彼女はそう言って、はばかりませんでした。
私が住む地域では20年前、市役所の職員になるためには、有力政治家の縁故と札束が必要であることは常識だったのです。
公務員は貴族という感覚がありました。
一族のほとんどが公務員というお家柄
P子が嫁いだのは、一族のほとんどが公務員という家。
亡くなった義父は県庁に勤め、兄は消防署、姉は大学の事務職員だそうです。
すぐに子宝に恵まれ、彼女は専業主婦におさまりました。
「公務員は冬になると暖房費の手当がつくから、それで私のコートを新調したの。
ボーナスはすべて貯金よ、子どもたちのために」
もともと顔が大きいP子はふっくらと肥えて、まるで劇画の金満夫人。
そして、よその家に首を突っ込むようにして、根掘り葉掘り聞いては、あちらこちらに吹聴するので、好かれてはいません。
でも、まったく気にせず、行動や言動がエスカレートするばかり。
公務員の妻は国民年金の納付をしなくてOK
公務員の夫を掴まえて鼻高々のP子ですが、実家は小さな食料品でした。
コンビニがいまのようにたくさん建つ前、地方には八百屋やお惣菜屋を営む個人の店があって、それなりに暮らしが成り立っていました。
彼女が生まれ育った家は、私の実家とそう大差がありません。
それが、公務員を掴まえたということで、うれしくてたまらないという気持ちが福福しい体にあふれています。
なぜ、彼女はそんなに威張れるのでしょうか?
ひとつには国民年金の納付をしなくても、将来の年金が受け取れる第三号被保険者で、さらには離婚しない限り、夫が定年のとき多額の退職金が手に入るからかもしれません。
会社員の妻で専業主婦だと、同じく納付しなくても基礎年金は受け取ることができます。
公務員はさらに有利なので、順を追って見ていきましょう。
将来の年金額は公務員がダントツ
国民年金の被保険者は次の3つのカテゴリーに分類されます。
- 第1号被保険者:自営業者・農家・無職・非正規労働者
- 第2号被保険者:会社員・公務員
- 第3号被保険者:第2号被保険者の被扶養配偶者
私のような自営業者の妻は、夫と同じく第1号被保険者に分類され、夫と同額の国民年金保険料を納付する義務があります。
なのに将来の年金はかつかつ。
それでも受け取るときは、半分くらいは国費が投入された額。
P子のように公務員の妻で専業主婦は、私が納付すべき40年間の国民年金保険料およそ800万円を納める必要がありませんが、満額を受け取ることができます。
しかも、夫である公務員には共済年金が上積みされています。
これがおいしい制度というのは、ご存じですか?
国民年金が1階部分、厚生年金は2階部分に喩えられますが、共済年金は3階分にあたります。
この職域加算分は厚生年金に一元化されたとしても格差が残ります。
万が一に共済の組合員が亡くなったときは遺族の範囲も広く、手厚い印象。
いずれにしても以前よりうまみが少ないとはいえ、退職が数年後に迫る世代は有利な受け取り額に違いありません。
国民年金の受給額
一方のわが家は満額受給でも、ひとりにつき月々6万5千円ほど。
そこから国民健康保険や介護保険料が引かれるため、実際に振り込まれるのはひとり5万円代と、夫の兄から聞いていました。
恥ずかしい話ですが、諸々の支払いがきつくて免除してもらった期間がありますから、さらに低い年金額なのが貯め代の家です。
国民年金の免除は所得の低い世帯が所定の手続きを済ませると可能。加入期間に含まれるので、暮らし向きが厳しいときは手続きをした方が良い制度です。
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地方公務員の退職金は平均2000万円以上
総務省のデータによると、国家公務員の定年退職手当は平均2181.3万円、行政職棒給表(-)の定年退職手当は平均2379.8万円。けっこうなお金です。
一方、地方公務員の一般行政職の平均手当は以下のように。
-
指定都市は約2357万円
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市区町村は約2236万円
-
指定都市は国家公務員と同水準
参考元:総務省
自営業者や農家は冷遇
わが家は、わずかな日銭からこつこつと貯めた小規模共済が退職金となりますが、公務員の1割しかまだ積み立てていません。
老後破産予備軍と言われても仕方がない。
自営業者や農家、非正規労働者、起業家は社会保障の面からみると、とても冷遇されています。
そうしてみると、公務員やサラリーマンに有利な仕組みといえます。
戦後、工業化を推し進める国が農家を減らして、工場勤務などの勤め人に意識を向かわせるための施策だったのかもしれません。
自営業者や農家は驚くほど社会制度からも冷遇されてきたのですが、その理由はなんでしょう。
法や税制に疎くて面倒くさい数字が苦手のため、声をあげることができない。
無知だから?
確かに無知だったと、私も猛省しています。
それと率直に言わせてもらうと、年金制度はお役人のためにあると言っても言い過ぎではないのではないでしょうか。
まとめ
仲良しだと思っていましたが、彼女は変わってしまい、あからさまに人を見下すように(>o<)
ただ、同じ妻の立場でも、結婚相手により雲泥の差となるのが現実です。
自営業者の夫を必死に支えて30年の貯め代ですが、退職金と年金では公務員より5000万~1億円くらい下回る、それが底辺の自営業者の真実。
この記事は個人的な見解であることをご了承下さい。
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