2020/08/01更新しました。
終活についてご存知ですか。
エンディングノートに書き出すのもいいのですが、そうでなくてもたまにはちょっと考えてみたい。
最期の時間を誰と過ごしたいか。
誰に看取られたいか。
あるいは延命治療のこと、葬儀やお墓のことも。
気づきを与えてくれる終活カウンセラーの講演を聞くことができました。
「明日死ぬと思って今日を生きなさい」というガンジーの言葉のように、よりよく生きるためのヒントを紹介します。
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終活カウンセラーとは?
私が聴講した講師は45歳の女性。
美人で、はきはきした方でした。
4児の母親であり寺の住職の妻として多忙な中、終活カウンセラーとして活動しています。
この資格は一般社団法人 終活カウンセラー協会が認定資格を設けて、初級が9,970円、上級が39,960円で受験料を設定。
これだけは失いたくないものって何?
講師はホールの聴衆にむかって、こう問いかけました。
「これだけは失いたくないものがありますか?」
- 健康
- 配偶者
- 友人
- 子ども
- 理性
- お金
- 自分の健康
ほかにもいろいろあるでしょう。
そうですね、私は子どもとの縁をなくしたくありません。仲の良い親子でいたいのです。
ところが講師はこう続けました。
「私たちは100パーセントの確率でいずれは亡くなることが運命付けられています。
失いたくない。そう考えてもすべてをこの世において、天に召されます」
がーん!
どんなに愛していても老いたら子どもや孫と別れなければならない。
だからこそ子どもを独り立ちさせることが大切。
それから、どんなに財産を持っていても、死ぬときは生まれた時と同様に身一つ。
ふだん認識していませんが、考えさせられました。
エンディングノート
書店で取り扱いがあるエンディングノート。
どういうものをを選べば良いのでしょう?
「ページ数が少なくて、薄いほうがいいですね」
ぶ厚いと最後まで書けずに挫折するからです。
何を書くのか?
エンディングノートには様々な項目があるそうです。
- 医療の告知や余命宣告をどうするか
- 葬儀の希望
- お墓のこと
- 財産や借金について
- 生命保険について
- 入院したとき
- 危篤のとき
「残された遺族がエンディングノートを見て、心がほっとしたり、救われるような気持ちになったりしたら良いのではないでしょうか」
認知症になると、性格が変化して暴言を吐くことがあるし、徘徊や粗相など迷惑をかけてしまうことがほとんどです。
そうなる前にあらかじめエンディングノートに家族への感謝を伝えてみませんか。
「大好きよ、ありがとう」
「優しくしてくれて、うれしかった」
「いつも寄り添ってくれて心強い」などなど。
ちなみに、『もしものとき』とは亡くなったときではなく、判断能力がなくなったとき。
私の知人のご主人は、50代で若年性アルツハイマーを発症し、60代になると弱ってしまわれたので、年齢にかかわらず『もしもの時』はいつやってくるかわかりません。
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葬儀
葬儀は亡くなった方への感謝を込めて執り行う、最後の儀式です。
お寺の檀家になっていると、亡くなったときはそのお寺で葬儀を執り行うことになります。
戒名やお布施、遺影を選ぶことなど親族にはやることや選択しなければならないことが怒涛のように押し寄せます。
お布施は葬儀社やお寺、親戚に尋ねるのが良いでしょう。
「お気持ち」と言われても見当がつきませんものね。
葬儀の形としては家族葬や一般葬、直葬、密葬、社葬など。
家族葬が増えていますが、メリットとデメリットがあります。
家族葬
メリットはお身内だけで心からの葬儀ができること。
デメリットは葬儀の後でお香典を持参してくれる方がいるため、家族がそのつど応対しなければなりません。
死因や病歴などもその度に説明することになり、心身が疲れているときは大変に。
葬儀社の選び方
あらかじめ葬儀社を決めておくことができます。
生きている間から不謹慎と、眉をひそめる方がいるかもしれませんが、前述のように亡くなってから何社もの葬儀社を比べている余裕がないことがほとんど。
見積もりと実際の請求額が異なるなどの、トラブルもけっこうある。
葬儀社を決めるときは、こちらの質問に丁寧に答えてくれる業者が良いでしょう。間違いが少ないはずですから。
お墓
(写真は当家のお墓ではありません。お花がきれいでお盆に撮影をいたしました)
先祖代々のお墓を守る人がいなくて困っている家庭が増えています。
講師は二人姉妹でそれぞれひとりっ子や長男に嫁ぎ、実家のお墓の後継者がいなかったとか。
それでお母さんは、お父さんが亡くなったとき永代供養される合葬墓に埋葬することにしたそうです。
未婚者が増えていますし、後を継ぐ子どもがいない家だとやがては絶家に。
お墓の管理料は年会費の形で徴収する寺院が多いのですが、3年間支払われないとお墓を撤去することが可能になると、講師は話しました。
実際には3年で即座に撤去という寺院は少ないそうですが。
それにしてもわが家も、娘ふたり。しかも遠方に暮らしているため、他人事でありません。
夫の母親が、3男坊である夫と私のためにお寺に地代20万円を払い、お墓を建立する場所を確保してくれました。
でも、後継者が……。
今の時代、家と墓を守るために娘に婿をとらせるわけになかなかいきません。
ほんと難しい。
後継者がいないときは墓仕舞いをして、永代供養に入れてもらうと安心です。
散骨・樹木葬・宇宙葬
私の夫は「死んだら遺骨を海に撒いてほしい」とよく話します。
釣りが好きなので、海に散骨してほしいのでしょう。
「海洋散骨は必ず業者に依頼してください。養殖場や魚場を避けた場所へ、許可を受けた業者の船で行くことが可能です。
また、そのときは喪服はNG。
釣り船やフェリー客が見たら気分を害するかもしれないから、ふつうの服で散骨してください」
終活カウンセラーがそう解説しました。
木を植える樹木葬のほか、最近ではバルーン葬や宇宙葬もあります。
大気圏まで飛ばすと250万円ほどかかるとか。
「散骨しても分骨をして遺灰をダイアモンドにする方法もあり、手元供養ができます。ご主人の遺灰をペンダントにしていつも身につけている奥様も実際にいます」
なるほどね。
しかし、その奥様だっていずれはこの世を去る訳ですから、先を考えるとフクザツですな。
ゆうパックでお骨を送ることができる
「嫁ぎ先のお墓に入りたくない妻もいます。昔と違い、いまは選べる時代になりました」
そう語る講師は、意外なことも教えてくれました。
遺骨をゆうパックで送ることができるというのです。
遺骨用の包装材があるそうです。というのも昨今はお墓の引っ越しもあり、高齢の方が列車に乗って重い遺骨を運ぶのが体の負担になっているんですね。
ゆうパックだけで、佐川急便やクロネコでは取扱いがありません。
よりよく生きるための終活
講演を聞いて、死を意識することで、却って生きていることの有難さを感じました。ごくふつうの日々が当り前でない ことに気づく。
「供養は、供え養うと書きますよね。お墓に花や供物を供えながら故人に語りかけることで気持ちが安堵することがあります。自分の心が養われた気持ちにになるんです」と、講師。
亡くなると、骨となって地面の下に、魂は空の上にと考えられてきました。けれども、決して無ではありません。
それにしても思い出だけしかあの世には持って行けない。けれど、遺族の胸にも思い出は残る。
どんな思い出を紡いでいこうか。そのためにも活き活きと毎日をすごそう。
終活カウンセラー、団塊世代が後期高齢者となっていますから、マーケットとして需要があるのでしょう。
参考になる講演でした。
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