2022/10/19更新しました。
私たち夫婦には学歴がありませんが、子ども達はそれぞれ専門学校と大学に進学しました。
上の子は当時、2年間の学費や教材費で200万円あまり、下の子は国立大学に進学したため4年分の授業料が200万円とアパートの家賃等が必要です。
さて、養育や教育にお金がかかったからと言う理由で、親は返済を子に求めることが可能でしょうか。
教育費と、親によるその返還請求についてお伝えします。
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教育費が家計を圧迫
一体どのくらい教育費は、かかるのでしょうか?
私の下の子どもが大学に進学したのは、11年前です。
- 小中高とも公立学校
- 国立大学に進学し卒業
卒業後は新卒で企業に就職したため、もっとも教育費が安上がりなケースと思います。
しかも、国立大学を1校だけの受験でした。
低年収のわが家は、地元の国立大学に入って欲しいと願っていましたが……。
下の子は共通テストの結果が良くなかった(>o<)
地元の国立大学は共通テストを重視するので、担任教師のすすめにより、二次試験の採点配分が多い大学を受験することになりました。
下の子は努力家だったので、高校3年間の成績はクラスでトップでした。
先生はAO方式の試験を勧めてくれたのに、本人は実力で望むと言うので、親は口を挟まなかった。
そうしたら、共通テストで失敗。
「最後まであきらめないでがんばりましょう」
先生の励ましにより、二次試験は子どもがひとりでJRを乗り継いで、受験会場へ。
なんとか奇跡的に合格できました。
子どもは実家を離れて、ひとり暮らしにをすることに。
入学時にかかるお金
さて、合格してから手続きの怒濤となります。
- 大学に入学金28万円ほどを振り込む
- 大学の寮に申し込む
- 大学の寮は抽選に落ちて入れず
- アパートの部屋さがしに、あわてて現地へ
- 部屋を決める
- 大家と契約し、敷金と礼金を払う
- 大学生協で入学に必要なものを購入
- 大学生協がすすめる火災保険などに加入
- 独り暮らしに必要な家電や家具をヤマダ電機で購入
あっという間に100万円以上が飛んで行いきました。
そのとき下の子が目を丸くして、こう言います。
「お父さんもお母さんも、うちにはお金がないと言っていたけれど、あったのね、お金が」
郵便局の学資保険を掛けていましたが、わが家は子どもひとりにつき200万円しかありません。
あとは奨学金と金融公庫の教育ローンに頼らざる得なかった(>o<)
ちなみに金融公庫の教育一般貸付は350万円まで。
アパートの敷金と礼金や入学金は、学資保険の満期となった中から払いましたが、4年分の学費が途中で足りなくなりそうなので、国の教育ローンも借りておきました。
住宅ローンの返済もあるし、わが家はたちまち借金で首が回らない一歩手前です。
そうしていたら1年後に東日本大震災が起こり、貧乏なわが家はさらに貧困の淵に立たされます。
なので、その年は学費を免除の申請をしました。
認められたおかげで退学せずに、4年で卒業でき、就職へ。
給料が出るまでの生活費
就職活動ですが、私の子どもの時は厳しかったです。
エントリーシートをいくつも出して、やっと面接。
何社も落ちて、内定をくれた会社に決めました。
「もう疲れてしまった。拾ってくれるならどこでもいい」と、子どもは珍しく泣き言を。
それで、勤め先が決まったので、その近くにお部屋を見つけて引越しです。
さらには、初めての給料が 出るのが5月20日頃なので、それまでの生活費も必要に。
結局、大学を卒業して勤めてお給料が出るまでの間に、50万円ほど援助しました。
借りた国の教育ローンは、夫の希望で家の預貯金をかき集めて、一括返済 。
奨学金は、子ども本人が返済しています。
それにしても、親であるみなさんは、ほんとうに必死になって、わが子を大学で学ばせているんだなと、つくづく胸に沁みました!
返済を求める親
子育てや教育費に掛かったお金は確かに多額なので、子どもに返してくれという親もいるそうです。
中には、就職したとたん、親に「これまでかかった費用を返してもらうから」と給料の大半を持っていかれているという人も。
毎日のように親に「大学費用返せ」と言われ続け、精神的に追い詰められているという人もいます。
弁護士ドットコムにも「母親に、今までにかかった養育費(3000万円)を返せと言われました。一括で返せなければ分割で払えと。
支払わなければならないでしょうか」という相談が寄せられています。
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自分の子どもに対して、私は「返して欲しい」と言ったことはありません。
しかし、実父と継母からは「ご飯を食べさせてお前を成長させたのだから、借金の肩代わりをするのが、娘としての誠意だ」と、迫られた体験があります。
ちょうどその時、子どもの受験時だったので、借金の肩代わりを私はやんわり「できない」と断りました。
しかし、私と違い、親孝行な方は借金返済を受け入れたり、親へ仕送りを続けたりする方がいらっしゃることでしょう。
そして、荷が重すぎて自分の暮らしが、 破綻というケースもあるに違いありません。
法的な解釈
ふつうの親であれば、子どもに養育した費用を返せとは言わないと思います。
しかし、なかには子どもに恩着せがましくお金を求める親がいる。
ところで、親から養育費を返せと言われて、私のようにお金を払うことができないときは、どうすればよいのでしょうか。
法的な理論
- その権利は妥当か?
- 養育費は借金なのか?
- 子は返すことを約束したのか?
「養育費を返して」と言われたら、まずはその請求の根拠を確認しましょう。
理由は借金であるならば、「返済します」という契約がなされていなければ、成立しません。
つまり親が子どもに養育するにあたり、子に対して「今月のお前の食事代はおやつも含めて1万5千円です。これは20年後に就職したときは、返済が必要です」と、2歳児や3歳児に契約書をふりかざして、拇印を押させることがポイント。
通常は、ありえませんね。
親が子どもの養育費を払う時に、子どもとの間で養育費の返済の約束をするということはまずないでしょう。
万が一、未成年の子どもが親に借金返済の約束をさせられていたとしても、その約束が法的に簡単に有効になることはありません。
ーー大学や大学院の学費、塾や習い事などの教育費の返還を求められた場合についても、親が子どもに請求する法的な権利はない、ということでしょうか。
そもそも、親には子どもを扶養する義務があります(民法877条1項【注※】)。
親が教育のために経済的な負担をして子どもを育てるのは、こうした扶養義務の実践にほかなりません。
仮に親が自分の生活を犠牲にして教育(たとえば子どもの習い事や高額な私立学校の費用)にお金をつぎ込んだとしても、それは誰かに強制されたのではなく、親が扶養義務を実践するにあたって自分の判断でやったに過ぎません。
ですから、親が扶養義務の一環として費やした教育費を子どもに返せと請求する根拠はありません。
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ちょっと長いのですが、正確さを期すために引用させていただきました。
感謝して引用元を添えさせていただきます。
かわいい孫をみせてくれたし、子の存在がありがたい。
教育費を返済しなくてOK
1千万円かかろうが、たとえ3千万円 以上でも親が好きで費用を掛けたのですから、養育費も教育費も子供には返還する義務がないというのが、日本の法的な解釈です。
ずいぶん前から、共働きで子供を意識的に持たないディンクス(DINKs)が流行していますね。
ドライに考えるなら、投資損と言えなくもないわが子への教育費や養育費。
子の幸福が自分の幸せと思えないと、子どもを慈しんで育てることができないのでしょう。
出費は多額でしたが、私は子どもと孫の笑顔が大好きで、生きがい。
なので、あのとき精一杯やれた自分で、良かったと感じています。
まとめ
子どもの大学進学から就職、初めての給料をもらうまでに様々な出費がありました。
それらを「返せ」は、理不尽。
子どもがノイローゼになるほど迫る親がいるそうですが、法的には返済義務がありません。
理由は、親が扶養した子どもに対しては返済自体の契約が成立しないから。
春は旅立ちの季節なので、親子のお金にまつわるトラブルをお伝えしました。
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