2022/09/09更新しました
モノをそぎ落とすと軽くなって、暮らしやすくなる。
そう解っていても、いざ捨てようとすると「後で後悔するかもしれない」と、迷うことはありませんか?
東京大学名誉教授で集中医療の現場を指揮した医師・矢作直樹氏は、物が欲しくなるのは脳の仕組みと圧力のせいだと、著書『今を楽しむ ひとりを自由に生きる59の秘訣』のなかで語っています。
また、モノを減らすことで得られる効果を、医師として言及。
この本から学んだ「欲望メカニズム」と、モノを手放すことの意味についてお伝えします。
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欲望メカニズムとは?
もっと欲しい。
もっと持ちたい。
大昔は王族や特権階級しか物質主義におぼれた生活はできなかったけれど、資本主義の現在は一般庶民も可能になったと、『今を楽しむ ひとりを自由に生きる59の秘訣』にありました。
- 目についたものがほしくなる
- 自分が好きな特定のものがほしい
- 他人が持っているもの、流行っているものが欲しい
女性ならファッションやバッグ、靴の流行を敏感に察知して、ショッピングが生きがいということもあるでしょう。
なぜ買ったのか、ふり返ってみれば気づきがあるだろう。
そう、矢作直樹氏は述べています。
脳はいつでも、目新しいものに興味を示す仕組みだというのですよ。
もっと、もっと!
欲しいというのは、人間としての欲求なのでしょう。
足るを知る
しかしながら欲しがる心理には、怖いところがあります。
- まだ使えるのに、新しいものに目が行ってしまう
- 物質主義にすりこまれて本当に必要でないものまで買ってしまう
ここで意識を変えましょう。
量より質を考えて、長持ちさせる方向へ。
そしていま持っているもので充分だと、「足るを知る」こと。
中年や老年になっても、「もっと欲しい」という気持ちが抑えられないのは、執着度が高いから。
やがては強いエゴとなるので、その執着を高めないためにも、自分で「なぜそれを買ったか」の振り返りは大切。
「なぜ欲しいのか」の振り返りは、自分の軌跡をたどることであり、原点回帰。
自分の本質が明確になる作業です。
この本には、ものの手放し方のほか、断捨離の効果についても述べています。
*本文中に断捨離の言葉があるので、記事にも使わせて頂きました。
モノの手放しと病気の改善
『今を楽しむ ひとりを自由に生きる59の秘訣』の著者である矢作直樹氏は、救急医療の現場で15年も働いたドクターです。
断捨離の必要性を話したとき、こんな質問を患者さんから受けました。
「じゃあ、断捨離で病気も治るものでしょうか」
参照元は本の180ページ。
矢作氏は、治る・治らないの二択でなく、ちょっと広い視野で答えるとすれば
- 不要なものを捨てる
- さまざまな執着を捨てる
- 終活をやってみる
これらにより気持ちが整うことは事実と、書いています。
ほとんどの病気はストレスが悪影響を及ぼしている。
だから、余計なものをそぎ落とすことで、ストレスが減る。
そして、怒りも手放すともっと楽になるというのです。
- 社会に対する怒り
- 自分に対する怒り
- 肉親や友人など身近な人への怒り
怒りや憎しみが強ければ強いほど、体に変化が起きやすくなる。
だから、負の感情をできるだけ捨ててください。
負の感情は、「なぜ、自分だけこんな目に遭うのか」と、やがて絶望感を生みます。
- 怒りや悲しみがあると、いつまでも事態が好転しない
- 周囲への感謝がなければ、怒りや悲しみは決して減らない
- 自分の体への感謝がないと、すべてが改善へと向かわない
矢作氏の元には、親がこうだったから、自分がこうなったと相談に来る人も多いとか。
そういう人は、たいていわがままだったり、感謝をしなかったりという人たちだと、本に書いてあるので、私は反省中です(-_-;)
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そぎ落とすと軽くなる
それにしても人目を気にしたり、他人から自分がどう思われているかの評価が、気になることってありますよね。
『今を楽しむ ひとりを自由に生きる59の秘訣』は、シニア世代がひとりの時間を楽しむ孤独力をつけることを勧めています。
引きこもりと違います。
あくまで世間や家族や友人と付き合いながらも、ほどほどの距離を保ち、自立した精神力を養おうと説いているのです。
- そのご縁に執着しない
- 必要なとき必要な人が登場している、と考える
これって、ものについても同じことに違いありません。
- そのものに執着しないこと
- もし捨てても必要なら。また手に入れることができるから、捨てても大丈夫
そうしてそぎ落とすと、自分の本質に気づいて、生きやすい。
人間関係では、親が重いとか、兄弟姉妹が重いとか、はたまた配偶者が重いということもあるでしょう。
いったん重くなると、止まらない。
そこに至るまでのいろんな思いが積み重なるので、重苦しさから抜け出さなくなる。
もしも自分が崩壊しそうなほど辛い人間関係なら、そのご縁を切り離す・手放すことも。
著者は医療の現場で、身内の介護をしているのに、その介護されている当人から言葉の暴力や恫喝を受けている家族を見てきてそうです。
付き添いの妻に暴言を吐き続ける夫は、よくいるとか。
また、著者は特に仕事場で発言するとき、気をつけていることが3つあると明かしています。
- 相手のプライドを傷つけないこと
- 必ず相手にも逃げ道を残すこと
- 話すよりも聞くことに重点を置くこと
片づけやモノの手放し方とは逸れるのですが、依存症をどう克服するか、そのことにもこの本はふれています。
当事者と家族には深刻な問題なので、すこしふれますね。
依存症
ギャンブルや薬、酒は依存症に陥りやすい。
本当の依存症になると、本人だけで治らないことがあるので、そうなる前に「動機」と「イメージ」を変えましょう。
依存症から脱却するために大切なポイントは、やめた後の自分を具体的にどうイメージできるか。
トレーニングが大切です。
強く思うことで自分の中に実現させようとする力が働く。
そのときは必ず、ネガティブなイメージを捨て、ポジティブな未来を具体的にイメージすることです。
- パチンコ通いをやめて失費が大きく減り、その分を家族や友人と有意義に過ごすための支出に充てて、イライラすることも借金することもなくなった自分をイメージする。
- タバコなら、やめたことで食事がおいしくなり、変な咳もしなくなり、出費がへり、クサいからと家族や友人から避けられていた、かつての自分にさようなら。
- 周囲と一緒に笑顔になれる自分をイメージ。
自分で具体的にイメージすることは、誰のためでなく自分自身のためです。
矢作直樹
やはぎなおき
1956年神奈川県生まれ
金沢大学医学部卒
1999年に東京大学大学院の教授に就き、東京大学医学部付属病院救急部・集中治療部部長など歴任。
たくさんの本も書かれています。
まとめ
許せないと感情も、執着だと本にありました。
この本はどちらかといえば、シニア世代向け。
終活についてもふれているので、男性にもオススメの内容です。
救急医療の現場でどうスタッフをまとめるか、それと自身の離婚体験にも少しふれ、人間の縁やつきあいもレクチャー。
医師としての助言が多く、とても読みやすい一冊です。
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