垣谷美雨(かきやみう)といえば、心理描写に定評がある人気小説家です。
「老後の資金がありません」は天海祐希主演で映画化され、コミカルな演技が話題。
垣谷美雨著「もう別れてもいいですか」を読んだので、感想をお伝えします。
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熟年離婚
主人公の澄子は58歳。
給食センターでフルタイムのパートで働く主婦です。
あるとき喪中はがきを受け取り、友人の夫が急死したことを知ります。
「うらやましい」
不謹慎と分かりつつも、思わず独り言をつぶやいたのは、夫である孝男と不仲だから。
一緒に暮らすことが辛く堪えがたく、家庭内別居の状態なのです。
妻に対して思いやりがなく、見下す発言が多い夫。
でも、澄子は離婚に踏み切れません。
経済力がないから不安なのですね。
60歳前後の女性は、若い頃に男女雇用機会均等法が整っておらず、結婚や出産を機に退職するケースが多かった。
そのため離婚すると、年金は低めです。
離婚したい……
でも、お金がないと悩む澄子。
女子会
澄子は高校を卒業後、金融機関に就職しましたが、出産後に退職したことを後悔してきました。
彼女の息抜きは、同級生との女子会です。
あるとき澄子は、都会の大学を出て幸福に暮していると思った美佐緒が、離婚したことを知ったのです。
経済的な不安があるので、離婚に踏み切れないことを、惨めに感じます。
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お母さんて奴隷みたい
久しぶりに帰ってきた長女は、東京で公務員で働き、独身。
結婚しないのは親の夫婦関係を見て育ったからと、澄子は思う。
孝男の顔色を窺うと、長女は「母さんて奴隷みたい」と、辛辣な一言を。
娘は趣味の旅行と、仕事に邁進しているのですね。
離婚に向かっての準備を具体的に描いていますが、少し都合が良いかも。
というのは、1人暮らしの母親が暮らす実家に住むことができるから。
離婚後の住宅・確保は大問題ですね。
次に読みたい「墓じまい」
身につまされて、読むうちに元気になれるのが、垣谷美雨の小説です。
夫はいらなくても、子どもが欲しい。
そんな方は必読の「40歳未婚女性」
秋の読書におススメな柿谷美雨の本です。
まとめ
澄子は不満を溜めているため、夫に優しい妻とは言えません。
2人の溝は深まるばかり。
そんなとき高齢の母親の世話をする名目で、実家で寝泊まりするように……。
夫婦って何だろうと考えさせられる1冊、感想をお伝えしました。
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