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上野誠著『万葉学者、墓をしまい母を送る』親の介護を続けるコツとは?

万葉学者墓をしまい母を送る・上野誠

次男坊に親の介護が……

 上野誠氏は奈良大学文学部の教授です。

『万葉学者、墓をしまい母を送る』は、福岡県の出身である上野氏が、少年時代に体験した祖父母の葬儀のこと、中年期で決意した墓じまい、そして高齢となった母を介護した体験を綴ったエッセイ。

国文学者にして、民俗学にも造詣が深い著者の視点は、ときに合理的!

親の介護について、ハッとさせられたのでお伝えします。

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1970年代の葬儀

墓じまい・上野誠

霊廟のようなお墓を祖父が建立

コロナウィルスによる、葬式クラスターが発生している日本。

盛大なお葬式はまず見なくなりましたが、かつては親戚中が一堂に会して、故人を手篤く弔ったものでした。

著者の上野誠氏は、1960年生まれ。

万葉挽歌および万葉文化論、歴史民俗などがテーマで、奈良大学で教鞭を執り、著書多数です。

さて、上野氏は、福岡県の大きな商家に次男として生まれました。

祖父が大正時代に始めた洋服店が大当たりして、上野デパートと呼ばれたそうです。

広い家には何人もの使用人がいて、商売が繁盛した祖父は昭和5年に、納骨室がある2階建てのお墓を建立。

地域で一番立派で大きなお墓を、生前に建てます。

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その祖父が1973年に亡くなったとき、13歳の上野少年は、湯灌を手伝う体験をしました。

湯灌の体験

湯灌師・葬儀

仏像は蓮華台に

湯灌とは、ご遺体を洗い清めること。

上野さんが13歳のときは葬儀屋さんにお任せするのでなく、お身内の女性達が湯灌をしたそうです。

13歳の上野さんは、冷たくなった祖父を 背負い、お風呂場へ。

1973年当時のお葬式がいかに親戚一同の大切な儀式であるか。

お料理も近所中の女性が手伝い、地縁に結びついたものであったことを描写したページは、ため息が出ます。

もちろん出費も盛大。

親の葬式を立派に出すことが、後継ぎの務めであった!

そして、湯灌の記憶は13歳の少年の胸に、深く刻まれる。

生前の祖父は優しかったけれど、死後の祖父に触れたことは、震えるほど怖かったのですね。

墓の維持が困難に

先祖供養・お墓・墓じまい

マラッカの先祖供養

ところが家業が時代とともに、ふるわなくなります。

大手スーパーでも衣料品を扱うようになると、地元密着の個人商店は太刀打ちできず衰退。

そして、大きすぎるお墓の維持が、家族を苦しめる。

2階建ての納骨堂の扉は錆びやすく、修理費用がかかり、お寺さんへのお布施もお墓が大きいと割高 ……。 

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上野家は墓じまいを決心して、 お墓を身の丈に合った墓地公園へ移転。

祖父の時代は、人々が競って立派な墓石を求め、葬儀も大がかりになった理由も述べられている本書です。

母の介護

上野誠・介護

兄がガンで亡くなり、母を介護

上野氏は奈良大学の教授ですから、奈良県に住んでいます。

兄夫婦が老いた母親と同居して、介護をしていましたが、兄がガンで亡くなってしまい、80代の母を奈良に引き取ることになりました。

ところが、お母さんは福岡県を離れたくなかったそうです。

しかし、その頃の母は体を悪くして、病院や介護施設を点々と移る状態。

結局、だますように新幹線に乗せて、奈良へ。

そのとき、上野氏は自分の大学の学生にバイト代を払い、車椅子の乗り降りを手伝ってもらうのですね。

奥さんが病弱のため、無理をさせたくないお気持ちがあったのでしょう。

とても合理的な考えに、さすがだと私は感じます。

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介護に追い詰められるケースが後を絶ちませんが、若い人の力を借りるのはアイディアですね。

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自分の暮しと親の介護

介護のコツ・上野誠

自分の暮しの質を下げない

この本の中で、最も私が共鳴したことは、上野氏が介護のためだからといって、自分の生活を犠牲にしないようにしたこと。

親の介護を無理なく続けるには、介護する側が幸福でないと辛く、無理になるのでしょう。

介護施設を勤務先の大学 の近くにして、見舞いもラクに。

そして、介護費用はお母さんの貯金1,000万円と年金を充て、その介護生活は7年間に及びました。

万葉学者、墓をしまい母を送る

上野氏は万葉集の専門家。

お母さんの葬儀はユニークだったことが、終盤に明かされます。

コロナが収束したら、万葉集の舞台である奈良を旅したいですね。

学者さんの本は滋味深い。

万葉集であるく奈良 (とんぼの本)

『万葉学者、墓をしまい母を送る』は、スティホームで介護や終活について考えたい方にオススメ。

ところで上野さんは、死の外注化という言葉を本書で用いています。

そうか、我々の社会は、家事や育児を外注する方向に向かい、死も業者にゆだねようとしているんだと、私は理解しました。

良いとか悪いとかでなく、時代の流れとして。 

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まとめ

葬儀のあり方やお墓のこと、そして親の介護について、今までの常識に囚われずに実践した上野誠氏の本を紹介しました。

還暦を迎える上野氏は私と年代が近いせいか、昔の葬式のページでは「そう、父やおじさん達が雁首ならべて、延々と葬式のやり方について論じ合っていたなあ」と、うなずいてしまいます。

共感するところが多い『万葉学者、墓をしまい母を送る』レビューをお伝えしました。

 

 

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