片づけや断捨離がブームとなって久しい日本です。
シンプルライフはアメリカやヨーロッパでも注目されているライフスタイルですが、さて、ミニマリストとは?
何も持たない仙人のような暮らし方かしら?
そんな気持ちで本のページを開きました。
『ミニマリストという生き方』
宝島社・1300円+税・2016年2月発行
著者の辰巳渚氏は、2000年に「『捨てる!』技術」を出版し、注目を集めた方です。それから16年を経て、本書を上梓。
2018年6月27日、辰巳渚さんの交通事故による訃報がもたらされ、謹んでご冥福をお祈り申し上げます。この記事は追記して、2018年6月27日更新いたしました。
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ミニマリストとは?
十人十色の定義がありそうなのが、ミニマリストです。
- モノを持たない
- 極限までモノを減らした部屋
- 自分スタイル
「スーツケースひとつで旅するように生きる」と書いてあったのは、ゆるりまいさんの本でした。
「 わたしのウチにはなんにもない」は著者が漫画家ということだけあり、イラストが満載でわかりやすい。
私が、ミニマリストという言葉を知ったのは、筆子さんのブログがきっかけです。カナダ在住の筆子さんは、アメリカのミニマリストやシンプルリストのことも詳しい。
先進国を中心に、世界的な潮流であることを知りました。
さて、『ミニマリストという生き方』には、こう書いてあります。
ミニマリストは、現代に豊かさの象徴であるモノにNOを言うことによって、気力を生み出そうとする。自分を見つめて立ちすくむのではなく、前に進むダイナミズムを生み出そうとする。(P55ページ)
モノが多いとストレスを実感
私は昭和のバブル妻世代です。結婚したのは1987年ですから、30年前。
当時は嫁入り道具で新婦の価値が測られるという風潮があったものです。
25年前に家を建ててそれ以来暮らしていますが、捨てることに罪悪感があったため、どこも汚部屋状態。
これってストレスです。部屋の扉を開けると、どこもモノがどっさり。少し片づけて「やれやれ」と思い、リビングに来たらまたぐちゃぐちゃなので、片づける。
そして、お茶を飲もうとしてキッチンへ行くと、流しには洗い物があふれ、ダイニングテーブルもモノばかり。
これではノイローゼにならないほうが不思議というものでしょう。キレイ好きな夫はいつも不機嫌でした。
減らして見えてきたことは?
私は現実から逃げるため、本を集めて読み漁りました。あるとき、娘に言われたことがあります。
「よそのお母さんみたいに楽しくカフェでおしゃべりしたり、美容室でおしゃれをしたり、どうしてママはしないの? そんな本を読んで一体なんの役に立つの?」
娘は娘なりに私を心配してくれたのです、ママ友がいない私を!
群れるのが苦手ですが、ふつうのご挨拶や店での応対は得意です。そつなく振る舞い、笑顔を振りまくことも、他人様に頭を下げることも苦になりません。
でも、私は本心では「人より自分が大切」な人間で、誰かに合わせることがキライでした。
汚部屋から脱却するためにモノを捨てて見えてきたのは、自分の心の貧しさです。
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家中のほこりに悩む
『ヘヤカツ!50代からの老いない部屋づくり』長崎夏海著を読んでから、ほこりを掃除しやすいような空間づくりが必要と思うようになります。
アレルギー性鼻炎でくしゃみが止まらないのは、ほこりのせいではないか?
そう感じていました。
どこもかしこもモノだらけなので、断捨離に励んでいます。でも、まだまだモノが多い。
服や化粧品を買わない生活をしてるのに、ぜんぜん不自由がないくらい、家にはモノがある。一番ないのが、お金なんですね、わが家の場合は。
稼ぐそばから消費すること30年。それが私の暮らし方でした。
幸せと豊かさの姿が変化しているのが現代
昭和の時代はモノの量が豊かさの基準だったのでしょう。
三種の神器と盛んにマスコミが消費をあおった時代をおぼえていますか?
1950年代後半~は白黒テレビ、洗濯機、冷蔵庫です。
1970年代~は3C:カー(自動車)とクーラーとカラーテレビ
2003年~はデジタル三種の神器としてデジタルカメラ、DVDレコーダー、薄型テレビ
何ということはありません、電化製品を作るメーカーがマスコミに莫大な広告費を注いで、庶民を消費へと駆り立てたのです。
ぎりぎりまで消費させる
そして、大衆がこぞってモノを買い集めたところに東日本大震災が発生し、足下から暮らしが揺らいだのです。
大量生産し大量消費の行きつく先は、人の価値をおとしめて賃金を抑えながら、さらにモノを買わせようと躍起になることではないでしょうか。
いくら消費できるかが人の価値になる時代なので、クレジットカードの限度額いっぱいに買い物する人がもてはやされます。
ただし、返済不能になると人間失格になるという、まさにチキンレース。
そんな殺伐とした社会を私たちは知らずに泳いでいるのです。
ミニマリストは消費社会への反旗かもしれない
『ミニマリストという生き方』は内容が濃い一冊です。5人の方のお宅拝見や哲学・モットーを余すところなく書いています。
人それぞれの生き方なのだと、率直に感じました。そして、ミニマリストは消費社会へのひとつの反旗なのではないでしょうか。
グローバル企業は、大衆にもっと買わせたい・業績を伸ばしたいと虎視眈々と世界中の人々のお財布を狙っています。
それに背をむけて、人生の充実をモットーとするのがミニマリストだからです。
何もない部屋は、掃除がしやすく快適。辰巳渚さんの本により片づけに拍車がかかり、感謝しております。
まとめ
ミニマリスト的なライフスタイルとは何か?
油断するとすぐ散らかる部屋の住人である貯め代には、高過ぎるハードルです。でも、余計なものをそぎ落として自分を大切にする生き方があること、これからミニマリストは増えそうだなと、参考になる一冊です。
【追記】
冒頭でもお伝えしましたが、著者の辰巳渚さん(本名・加藤木綿子さん)は2018年6月26日に52歳の若さでご逝去されました。
お別れの会が7月1日、午後1時半から浅草ビューホテル(東京都台東区浅草3-17-1)で開かれる予定です。喪主はご主人の秀一氏。
生活哲学を提唱された辰巳さんの突然の訃報は残念でなりません。
心よりお悔やみ申し上げます。
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