森のイスキアを運営して、2016年2月に惜しまれつつご逝去された佐藤初女さんの本を読み返しています。
『「いのち」を養う食 森のイスキア佐藤初女さんより幸せな食卓のための50のメッセージ』講談社
佐藤初女著
苦しみを抱えて悩める人たちのために、傾聴と食事をともにして寄り添う活動を続けました。
1995年の龍村仁監督のドキュメンタリー映画『地球交響曲〈ガイアシンフォニー〉第二番』で、岩木山麓の四季を味わいながら暮らす生き方が広く知られ、大きな共感を呼びます。
今日はたくさんの著作のなかから、食についての一冊を紹介。
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森のイスキアとは?
初女さんの略歴
佐藤初女さんの存命期間は 1921~2016年まで、享年は94歳。
青森県青森市生まれで、若い頃は教職に就いていました。
1944年、勤めていた学校の校長先生と結婚。23歳の若さで、妻を亡くし3人の子どもを抱えた校長の後妻になります。
初女さんはカソリック信者ですが、ご主人ははじめ理解がありませんでした。でも、ある夜、お酒に酔って帰ってきたご主人が家の戸を「開けてくれ」と怒鳴り、初女さんは起き上がろうとしても体の具合が悪くてなかなか戸口まで行けませんでした。
やっとの思いで、戸を開けると、「遅い!何をしているんだ」と、いきなり殴られたそうです。
翌朝、さすがのご主人も暴力はいけなかったと反省。そのとき初女さんは、洗礼を受けたいと許しを請い、ご主人がうなずいたとのこと。
生涯を通して、福祉活動と教育に尽力しました。
そして痛みを分かち合う癒しの場として、青森県弘前市の岩木山麓に「森のイスキア」を1992年より主宰。
写真の鐘のある山荘が「森のイスキア」、それ以前は市内で「弘前のイスキア」として活動しています。
おむすび講習会
日本と海外でおむすび講習会を開き、素朴な食をそのまま頂く「食の見直し」を広めました。
「あまり力を込めすぎないで、優しく握るのがおむすびのコツですよ。口に入れたとき、ご飯粒がほろほろとくずれて、お米を味わえるように」
私は講演会を聞いたとことがあります。
檀上の初女さんはしずかな語り口で、食の大切さを話しました。
山の恵みを生かしたお料理やおむすびで、悩める方の気持ちをほぐして、生きる力に自らが気付くように、「そっと寄り添う」活動をなさった方です。
いのちを養う食
初女さんのおむすびは自家製の梅干しを入れて、大きな海苔でひとつひとつをくるみます。本の表紙は生前の姿で、おむすびを作っているところ。
この本にはメッセージがたくさん。
- できそうなところから一歩始めてみる
- みんなで一つのものをいっしょに食べる
- 「食」は家庭の和につながっている。
- 生きた食事で「いのち」をいただく
- 幸せな食卓の体験は丸いちゃぶ台から
- 家庭料理はレストラン料理とは違う
- 自分の舌を信じて何度も味見をする
こんな感じで50個のメッセージと解説の文章があります。
日本人には日本食が合っている
お米には力が宿っていると、初女さんは力説。
「炊き立てのご飯ときちんとだしをとったおみそ汁、それにちょっとしたおかずがあれば、日本人はたいてい満足できます。こういうなんでもない食事が、今はお母さんから子どもに伝わっていない気がします」P55から
ご飯を毎日、炊くのはたいへんという声がありますが、炊き立てのご飯はやっぱりおいしい。
わが家は夫がごはん党なので、3食のご飯を準備しています。でも、この頃、ちょっと血糖値が気になっていました。
ご飯は悪者でしょうか?
糖質を制限したいなら、まずはジュースをやめたほうがいい
ポテトフライやピザ、タコ焼き、パスタなどがコンビニやスーパーにあふれんばかりに並ぶのが今の日本です。
料理しなくても買えば手軽に、すぐ食べることができます。そしてお菓子やジュースもついでに買うことが多いでしょう。
糖質を制限したいなら、まずをジュースをやめる。わが家の夫の場合はアルコールを少し控える。
そして、おかずとご飯とみそ汁はきちんと。
その基本がくずれているから、血糖値があがったに違いありませんね。
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一回の食事を一から全部作ろうとしない
女性が一生涯はたらくことが当たり前になりましたね。
「仕事をしているので、家に帰ってから食事を作る時間がないんです」
こういう相談が、初女さんのところにも多く、それに対してこう答えるそうです。
「何もかもいっぺんに30分で作るのはやはりムリ。2~3日、日持ちする浅漬けや煮物を作っておき、冷蔵庫に保存。副菜があれば、あとはご飯を炊いてメインのおかずを一品つくれば良いですよ」
見えない下ごしらえこそ大切
「めんどうくさい」といってやらない、それがさまざまな問題につながっていく。
そう初女さんは本のなかで語ります。
森のイスキアにやってくるのは、拒食症になって何年もまともな食事が摂れていなかった人や、うつ病など心の病気の方、家族関係になやむ方などさまざま。
「インスタント食品やコンビニなど、楽をすることで失うものが多いことに気づいてほしい」
日本食は下ごしらえが欠かせません。
写真は、夫が釣ったイワシを私が刺身にしたところ。これって手間がかかっています。
うちは、所得が下がっても住宅ローンを抱えて厳しい家計なので、食材は大切に調理して、食べることにしています。
でも考えてみると、25年間住宅ローンを払い続けることができて、良かった。そこそこ健康で働けたので、払うことができるのです。
私はそうじが下手で片づけられない女ですが、家族の食事だけはできるかぎり手をかけてきました。
それは、佐藤初女さんのシンプルな生き方が好きで、見習いたいと考えていたからです。
まとめ
『「いのち」を養う食 森のイスキア佐藤初女さんより、幸せな食卓のための50のメッセージ』は、生きることと食べることのつながりを書いた一冊です。
私は初女さんは、日本におけるシンプルライフの先駆者と考えています。食のメッセージが書いてある読みやすい本ですから、若いママにもおススメです。
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