
河出書房新社から2013年に発刊された「血を売る男 許三観売血記」を図書館から読みました。
中国人作家 余華の小説。
日本にもかつてあった売血、貧困や家族愛について考えさせられます。
中国の作家・名作を紹介します。
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血を売る男

本のストーリーは、紡績工場に勤める許三観が、友人たちに誘われ、血を売るところから始まります。
時は1950年代の終わりころ。
彼は血を売ったお金で料理店へ行き、レバニラ炒めと老酒を1杯飲んで、普段できない贅沢を味わう。
残りは結婚のための準備にお金を使うのですね。
やがて妻との間に3人の息子が生まれますが、長男の一楽は妻が不倫して生まれた子どもであることに気づく。
凶作や飢餓、文化大革命など一家を社会の荒波が襲い、そのたびに許三観は、売血により金を得て、暮らしを立てる……
ユーモアある文体で、悲惨な現実を描いて、すごい。

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日本でも戦後しばらく売血が、法的に許されていました。
肝炎ウィルスなどの問題で禁止され、献血の制度ができたのです。
一方、中国の農村は本当に貧しかった。
エイズ村で知られる河南省の文楼村は、河南省政府が推進した「血漿経済(有償献血)」により、不衛生な環境での売血が横行。
この政策が原因で、HIVが村中に広まり、村の全住民の約3200人中、70%がHIV患者か感染者。
日本でもエイズや梅毒が急増しているので、皆さまお気をつけて。
ほんとうの中国の話をしよう/余華/飯塚容【1000円以上送料無料】
経済発展を遂げて、不動産会社の破産に端を発し、バブルが弾けたとされる中国です。
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ノーベル文学賞作家の獏言

莫言(モー イエン)がノーベル文学賞の受賞作家となったのは2012年。
中国籍として初めの受賞者です。
私が読んだのは「白檀の刑」
残酷な内容を、これまたユーモアに包んで読者を導きます。
ノーベル文学賞を受賞した作家の莫言。
- 時代は清代末期
- 舞台は莫言が繰り返し描く架空の土地、山東省高密県
- ある劇団の頭領が極刑に処せられる
- 名は孫丙
- 罪状は「国家反逆」
「数ある酷刑の中でもとくに重いものが望ましい」という袁世凱の要望に応えて提案されたのが「白檀の刑」。
白檀といえば、まず思いだすのはそのうるわしい香りであり、酷刑の名前にはふさわしくないように思える。
しかし、白檀の刑は人体を生きたまま3357片にみじん切る「凌遅の刑」よりも残酷だという理由で選ばれた。
怖くてユーモアあり

「血を売る男」と「白檀の刑」
どちらもそれぞれ作家が、命がけで書いたろうと推察される作品です。
見方によっては体制を批判しているようにも感じるから。
そしてそのうち「肝臓を売る男」や「心臓を売る女」などの小説が出るかもしれません💦
まとめ
中国の農民工は、暮らしが厳しいことが文学作品からうかがえます。
読みやすくて歴史の勉強になる中国の名作をお伝えしました。
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