2020/09/11更新しました。
わが家には、毎日こんな電話がかかってきます。
「電気料金がお安くなりますよ」
「ご近所を回っていますが、不用品はありませんか」
どうして次から次へ電話がわが家に来るのでしょう?
そう思っていたとき『老人喰い 高齢者を狙う詐欺の正体』鈴木大介著を読みました。
オレオレ詐欺や、架空の金融商品による儲け話など、高齢者をターゲットにした特殊詐欺が後を絶ちませんが、そのからくりを暴いたノンフィクション本です。
被害に遭わないようにするためのポイントをこの本からお伝えします。
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高齢者を狙うのに罪悪感なし
わが家は50代夫婦ふたり暮らしなので、まだ高齢者ではない!
そう思っていました。
しかし、夫は年内に還暦を迎えます。60歳になるんですね。
この本の帯には、振り込め詐欺をはじめとする特殊詐欺犯罪の被害者の約8割が60歳以上の高齢者とあって、ガーン!
わが家はじきに高齢者世帯に、仲間入り。
どうりで得体のしれない電話が多いワケです。
さて、この本は詐欺グループに所属する若者が、どのような家庭環境で育ち、不良となって詐欺の片棒をかつぐようになるか、詳細に書いています。
家庭が崩壊して学校を中退、あるいは貧困の中で育った若者が特殊詐欺の厳しい訓練のもとで、実習を重ね、詐欺グループのメンバーとなって大金を得る姿も追っていました。
「金をたんまり持っている年寄りから奪ってなにが悪いんだ。俺たちは汗水たらして働いたとしても一生貧乏暮しなんだぜ」
そういう気持が半グレの若者には多い。
年寄りから奪っても、俺たちは正しいんだ。
そういう倫理観で生きているとは、ショックです。
お年寄りを敬おうというスローガンは死語となったのでしょうか。
時代は急速に、貯めこんでいる高齢者をターゲットにして、その金を奪い取れという風に変わっているようです。
合理化された組織
この本に登場する詐欺グループは、都内のベッドタウンにオフィスを借りています。
営業の人材をふるいにかけるシーンは読み応えがあります。
暴力と恫喝がその場を支配し、日給は数万円以上と高給ですが、たいへんに厳しい。
それに耐えた者が本採用になる。
幹部が暴力団とつながっていても、末端の受け子は知らされていないことが多く、摘発が難しい。
さらに事務所をひんぱんに移転して、周到に足がつかないようにしているとか。
詐欺名簿
やられ名簿ともいわれる詐欺被害者の名簿のなかには、配偶者がいつ亡くなり、自宅にタンス預金がどれくらいありそうかも載っているものがあるそうです。
「亡くなったご主人に借金があったので、払ってください」と、未亡人の家にとつぜん強面の男性がきたら、びびってしまいますね。
しかし詐欺グループにはそこがねらい目。
亡くなった人ですから、本当に借金があったかどうかを確かめられない。
恫喝すれば金を出すかもという目算で、詐欺グループがやってくることが。
画像参照元:
本によると平均2000万円を貯めこんだ高齢者世帯を狙うのだそうです。
大企業のサラリーマンだったり公務員だったりして、退職金ががっぽりというお宅はけっこう多いもの。
そんなあなたが狙われています!
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詐欺で稼いだ者の末路とは
なけなしの高齢者からも情け容赦なく、むしり取っていく詐欺グループ。
さて、そんな稼ぎ方は長く続きません。
受け子が捕まったり、幹部同士の抗争があったり、そして人材不足に陥ったり……。
ひと月に数百万もの収入があっても、泡沫のように消える。
ひまをもてあましてギャンブルで散財し、またあるものはネトゲ廃人と末路は悲惨。
というのも稼いだときに、貯金をするような心がけの者が滅多にいないから。
平成29年度の被害額はおよそ395億円。ピークだった平成26年がおよそ565億円なので、少しずつ減っていますが、まだ騙される人は少なくない。
騙り調査に気を付けて
ターゲットとなる高齢者から、情報を聞き出す手口が詐欺グループにはあります。
たとえば国勢調査、地元警察の防犯のための調査、福祉事務所による高齢者の居住状況や安否確認など、それらしく騙り、電話で情報を聞き出す。
- 持ち家か貸家か
- 同居か独り暮らしか
- 死別した配偶者がいるか、いるときは名前と死亡年月日
- 現金などの持ち合わせはあるのか
- 不動産や証券の有無
- 金融資産は銀行に預けているのか、タンス預金か
- 在宅介護サービスの利用頻度
- 悪徳商法にあったことがあるか
- 緊急時に連絡を取る子供の名前や住所、勤務先
人を見たら疑えということは悲しいことですが、電話をとったら疑ってみましょう!
たとえば警察からだとしても、「警察からですか?いまちょっと天ぷらを揚げて手が離せないので、部署とお名前をお聞かせください。折り返し電話します」
一旦切る。
そして警察に確認を取るのです。
「いまこういう電話があったけれど、○○課の△さんにお願いします」
「そういう電話を署ではしていないし、その名まえの署員もいません」と返答されたら、詐欺名簿・作成のための電話かもしれません。
老人喰いを書いた鈴木大介さんは、「最貧困女子」「出会い系シングルマザーたち」などの著者があるノンフィクション作家です。
最近では自身が41歳で脳こうそくを患った体験記も。
42歳「脳が壊れた」ルポライターのその後〜私が障害を受容するまで(鈴木 大介) | 現代ビジネス | 講談社(1/4)
大病後も著述の仕事は続けられているようです。
わが家に来る電話
「電気料金が安くなります」という電話は、大阪のコールセンターから。
「不用品を買い取ります」という電話は関東からかかってきました。
私は相手が名乗ったら、復唱します。
聞き取れないときは「今メモを取りますから、もういちど仰ってください」と聞き直す。
相手のペースを乱すのが目的です。
そして「あなた様はいま現在地どこから電話をなさっていますか?」と、聞きます。
その結果、わかったことは都会の人が地方の世帯を狙い撃ちしていること。
田舎者はまだ騙される率が高いと、向こうが踏んでいるのが透けて見える!
これは特殊詐欺ではありません。電力会社の代理店やリサイクル業者です。
いずれにしても高齢者をターゲットにする特殊詐欺は減ることがありません。手を変え品を変えて、お金を騙し取りに来る。
まとめ
鈴木大介さんが書いた『老人喰い 高齢者を狙う詐欺の正体』を読んで、詐欺グループが進化していることを知りました。
騙り調査にも注意が必要。
詐欺名簿に詳細な情報を載せられるかもしれません。
高齢者を狙った犯罪は増えているので、油断せずに暮していきましょう。
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