2023/05/06更新しました
久しぶりに文藝春秋を買いました。
芥川賞の受賞作品が全文、掲載されているので読みたいと思ったのです。
ぶ厚い一冊で、ページをめくるとまず目に入ったのが『告発ルポ 新聞販売店主はなぜ自殺したのか』の見出し。
新聞を毎日、家へ配達してくれる販売店の苦しさが書かれています。
胸が痛くなる内容でしたので、考えてみたいと思います。
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読者が減っている
わが家で読んでいるのは1紙だけで、それも地元紙。
地域密着のローカルな話題が満載です。
日本経済新聞は、銀行や信用金庫に寄ったとき、待合室で目を通していました。
株価や経済の専門紙として、よく知られていますね。
2017年の年末に、その日経の東京本社ビルで火災が発生したことを覚えているでしょうか。
トイレが焼けたという火事で、男性がひとりお亡くなりになりました。
私はテレビニュースで知りましたが、事件の詳しい続報がないので、なぜかな?と、感じていたのです。
だって、新聞社は何事もなかったのように平常の業務にすぐに戻ったというので。
販売店は弱い立場
文藝春秋3月号に真相が載りました。
自殺したその方は56歳、一ヶ月前まで日経新聞・都内販売店の販売所長だったそうです。
抗議の焼身自殺の可能性が高いとのこと。
さぞ苦しい決断だったでしょう。ご家族もいるでしょうし。
そこまで追い詰められたのは、新聞社と販売店の立場の差ではないでしょうか。
販売店とは、新聞社の下請けのような存在と言ってもいいのかもしれません。
新聞はネットに押され気味で、購読者を減らしています。
発行部数を「水増し」してきた朝日新聞、激震! 業界「最大のタブー」についに公取のメスが入った(幸田 泉) | 現代ビジネス | 講談社(1/4)
上の記事は発行部数の水増しについて言及しています。
なぜ水増しを?
読まれずに捨てるなんて、紙がもったいないよ!
そう思うのですが、発行部数が多い方が企業からの広告料を高く設定できるし、掲載したい会社も増えるのだとか。
残念ながら、紙の新聞は部数が減る一方です。
押し紙
実際には売れない新聞を、販売店に買い取らせるのが『押し紙』です。
新聞を取る世帯が減っても、新聞社が販売店に卸す部数が多いままだと当然、販売店は経営がキツくなります。
さらに折り込み広告(チラシ)が減っているため、従業員の給料を払うことができない販売店もあるとのこと。
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報道されない事件
「新聞販売店 新聞の店主が自殺することは、年末の日経本社ビルの事件だけではない。違う新聞社の販売店でも起きている」
そう、本の中に書いていました。
理由の大きなひとつは事業資金の融資を受けているが、返済できないこと。
原因は借金。
報道されないだけで、現場では資金繰りに悩むケースが少なくない。
芥川賞作品を読もうと買ったのに、販売店の深刻さに胸をつかれました。
時代が変わり、淘汰されようとする業界があると、そこで働く人たちは利益が上がらず本当に苦しい。
多額の借金があると、平常心でいられなくなります。
人ごとでありません。誰でもいつどんな苦境に陥るかしれませんから。
マニアックな節約で厳しい生活を乗り切ろうと、靴下の穴を繕いながらも買った本。
芥川賞を受賞したのは、「おらおらでひとりいぐも」岩手出身の若竹千佐子さん。
そして「百年泥」の石井遊佳さん。
若竹さんは60代、石井さんは50代ということで、文学はシニア世代が主流になるのでしょうか。
外はまだ雪があるので家に閉じこもり、読書タイムで過ごしています。
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