2020/11/28更新しました。
私って、もしかしたら毒親?!
そんな怖れを抱きつつページを開いた本です。
『さよなら、お母さん 墓守娘が決断するとき』
信田さよこ著 春秋社(1700円+税)
母と娘の深い溝を赤裸々に描いた一冊です。
本の感想をお伝えします。
深い溝
なぜ、こんなにも母という存在は押し付けがましくて、やっかいで面倒なのか。
なぜ娘であるわたしに対して舐めた態度を取り続けて、傷つけることを平気でするの!
叫びが聞えるような内容。
私には20代の娘がふたりいます。
上の子に続いて下の娘も、2010年に進学のために実家を離れました。
「あの頃は親元を離れて、寂しがったべ?」
私が数年前、20歳を過ぎた娘 に聞いたとき、彼女はこう答えたのです。
「それがもう解放された!って喜びだけだったよ。
束縛されずに、生活ができるかと思うと嬉しくてさ、ただ部屋で寝転がっているだけで、幸福感に満たされた」
はっ?
何それ!
親が心配で電話したのも「うざっかった」などという言葉が娘の口から出て、絶句。
そのときのショックは忘れられません。
なぜなら私は子どもにプレッシャーを強いたつもりは、少しもなかったからです。
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墓守娘とは?
はかもりむすめと読みますが、これは著者・信田さよ子さんの造語。
信田さんはこじれた家族関係のカウンセラーをしておられます。
それで墓守娘とは、過干渉の母親を持ち、人生に口を出される子どもを指します。
- 介護は当然
- 将来は自分の墓を守れ
そう言われ続けて、辛い立場の娘のことです。
家族の憎悪は外から見えにくい
正直なところ私自身、親との関係は最悪で丸2年ほど顔を見ておりません。
「また借金になるから、パチンコをやめたら」
「お金もないのに見栄を張って、モノを買うのを控えなさいよ」
そう意見を申したところ、父と継母は怒ってしまいました。
「お前とは縁を切る。金輪際、この家の敷居をまたぐな」と、絶縁宣言。
そのときの私の気持ちですが、実はホッとしました。
後悔しない子育て 世代間連鎖を防ぐために必要なこと (こころライブラリー)
では私は、あなた達の娘であることをやめさせて頂きます。
そうはいっても、書類上の手続きをして絶縁できるわけではなく、喧嘩の延長。
親戚中に「親の世話もしないで、親不孝者だ」と、悪口を言いふらされていますが、気にしないことにしました。
さて、「さよなら、お母さん・墓守娘~」の本には、母親と会うことを丸5年間、拒んでいる娘のケースもあります。
家族間の問題は外から見えにくく、かなり深刻な状態になって、心療内科に通ったり、自殺未遂を実行したりしても、本人の心までは解明できないことが多いです。
娘とは他人であるという意識
本に出てくるモンスター母は、夫のDVにひたすら耐えて、自分を殺し、娘だけを生きがいにしました。
パート代をもらってもひたすら娘の学費にして、結果的に娘は弁護士になります。
ところが働くようになって自立した娘は、母の介入を拒否。
「もうやめて、お母さんの顔を見たくない。
メールの着信を知っただけで動悸がするし、手紙の字を見るのも本当にイヤ。
もう自由にして!」
母親は、自分が悪いとはみじんも考えません。
娘に男ができた。あの男がよけいなことを吹き込んだからだ。
目に狂気を宿して、さらに執拗に娘につきまとうように。
ちなみに、男女間だとストーカー規制法が適用されますが、娘が母親をストーカーとして訴えたとしても、受理されることは現段階ではないそうです。
このモンスター母に欠けているのが、娘は自分とは違う人格を持っているという意識。娘はいつまでも自分を必要として、蜜月が一生つづくとしか考えていないことが問題の原点です。
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母であることを卒業する
親子問題のカウンセラー信田さよ子さんはこう書いています。
「娘のために」
それは親の勝手な思いであり、依存である。
あなたはたしかに娘の母親であった。けれども母としての役割はとっくに終わっている。
成人した娘に母親ヅラをする必要はない。
自分のほうが世間をよく知っているという思い上がりを捨て去ろう。
生んでやった、人生の先輩だなどという自覚も捨ててしまおう。
ー中略
何よりあなたの人生を振り返ることが重要だ。
思春期に経験した挫折、同級生と比較されたこと、劣等感、結婚した理由、夫の裏切り、結婚の後悔……。
自分が「重たい母」となった源流をたどってみよう。
自分は立派な母だと胸を張れる人はどこかモンスターなのだ。
そう自覚しておくと、モンスター化は避けられるだろう。
まとめ
母と娘の関係は、言いたいことを言えるだけに難しいものがあります。
うちの娘たちはそれぞれ勝手にお相手を見つけて、結婚しました。
親として「あれをしてあげたい」という気持ちが、仇になることもあるのでしょう。
もういいよ、あんたはあんたの人生を歩みな、母さんもやりたいことをやるからさ。
そんなふうに前向きに考えられるようになった本です。
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