話題作「おいしいごはんが食べられますように」は、今年の芥川賞を受賞しました。
作品が掲載されている「文藝春秋2022年9月号」を図書館から借りて読んで、ドキッとしたのです。
職場での三角関係をモチーフに、「食べる」ことがテーマの小説。
感想をお伝えします。
スポンサーリンク
おいしいごはんが食べられますように
1988年生まれの高瀬隼子さんは、私の長女と同じ年。
黒髪がつやつやの美人です。
画像は「文藝春秋」の目次。
さて、「おいしいごはんが食べられますように」は埼玉の食品パッケージ会社が舞台。
- 二谷 入社7年目 29歳の男
- 芦川 入社6年目 30歳の女
- 押尾 入社6年目 29歳の女
3者とも独身。
二谷を巡る女ふたりの物語です。
芦川は料理上手というふれこみで、しかも病弱。
仕事は出来ないタイプですが、社内のマスコットガール的な存在。
押尾は優秀な「できる」女性で残業もこなし、二谷とは性差を超えて付き合う。
か弱き女性を演じている?
二谷は芦川と付き合うことになります。
お節介なパート社員が、婚期を逃しそうな芦川を心配して、二谷との間を取り持つのですね。
男女の関係になると、芦川はいそいそと二谷のアパートでご飯を作る。
手の込んだ料理ですが、実は二谷は食に関心が薄くて、好物はカップ麺。
手料理とベッドインの後で、口直しにカップ麺を食べずにいられない二谷です。
二谷にとって、芦川は自分の言うことを聞く便利な女。
小賢しく反論せず、何を話してもニコニコ笑ってくれそうな……。
相手を舐めているのですが、実は芦川が実家の飼い犬にも格下の扱いをされ、言うことをきいてくれないことが判明します。
スポンサーリンク
手作りケーキを職場に?
偏頭痛を理由に早退したり、定時で帰宅したりの芦川です。
そのしわ寄せは、優秀な押尾に。
毎日のように残業し、押尾と二谷は居酒屋で一杯引っかけます。
そのままお持ち帰りになりますが、最後の一線は越えません。
一方、芦川は早退して迷惑をかけたからと、手作りケーキをみんなに振る舞う。
毎日毎日……。
二谷は甘い物がすきではなく、そのケーキを叩き潰して、ゴミ箱へ捨てる。
そう、二谷は芦川を少しも愛していない。
むしろ嫌悪しているけれど、別れることもできない。
ラストに向かって、修羅場が(@@;)
しかし、二谷が結婚を匂わせると、芦川が涙ぐむところで終わるのです。
えー、結婚してもうまくいかないでしょう!
ひとり寝室で、吼えた私です。
個人の感想です。
人物描写が際立つ小説。
ホラーのように怖いかも。
ドキッとした理由
私と夫は、食事のことで夫婦ゲンカとなることが、しばしば。
血糖値に黄色信号が灯り、高血圧とコレステロール・中性脂肪の治療薬を服用している夫。
だから、栄養バランスやたんぱく質を考えているのに、文句ばかり。
作品を読んで少食の人に、むりに給餌させているのかなと反省したのです。
おいしいごはんが食べられますように/高瀬隼子【1000円以上送料無料】
私も芦川のような食の強制をしていないか。
自分がよいと思っても、相手にとっては迷惑ということがある。
それにしてもクリスマス料理にお節と、胃が3つくらい欲しい貯め代です。
食べることが大好きな私と、小鳥のように少食な夫。
「食」をめぐる男女関係がテーマの「おいしいごはんが食べられますように」
年末年始の休暇に、おすすめしたい一冊です。
ご主人が受賞を喜んでくれたそうです。
高瀬隼子さん、髪がツヤツヤで、うらやましいわあ。
文章はなめらかで、難しくありません。
じっくり読むと、芦川が底知れない女性と気づくかも。
まとめ
167回芥川賞は高瀬隼子さん「おいしいごはんが食べられますように」です。
結婚したら毎日、ご飯を一緒に食べて、相手のパンツも洗うわけですが、「少しは家事協力しろよ」と、夫に言いたくなります。
男女関係と食がテーマの作品について、ドキッとしたことをお伝えしました。
スポンサーリンク