『事故物件怪談 恐い間取り」を読みました。
著者は芸人の松原タニシさん。
事故物件といえば、この頃は中高年の孤立死が多いため増えていると聞いているので、意外と身近な問題ではないでしょうか。
眠れなくなるほど怖い本なのに、ページをめくる手をやめることができない。不動産業界のウラ事情もあり、おもしろいのです。
本の感想をお伝えします。
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事故物件とは?
殺人や自殺、それから腐乱したご遺体が見つかった賃貸しの部屋は賃貸料を下げて、貸し出されることがあります。
そういう瑕疵(かし)のある不動産が、事故物件と言われています。
怨霊やゆうれい譚、亡霊などは世界中にあるし、日本においても数多い。
もしも悪霊に獲り憑かれたらと考えると、ふつうは事故物件には住みたくないでしょう。
しかし、著者の松原タニシさんはこれまで5軒の事故物件に暮しました。
霊感の強い人だと「見える」そうですが、松原さんはそんなに気にならないそうです。
霊感とは?
一般的には神や仏からの霊妙な感応、インスピレーションを霊感といいます。
人によって感受性が大きく違うので、目に見えないものが視えてしまうしまう方は、霊感があるのかもしれません。
ただ、精神的な病気も、実際にはないはずの音が聞こえて、視える症状があります。
霊感が強すぎると、日常生活がたいへんかもしれませんね。
私は霊地霊場めぐりが好きで、古い墓地に墓碑銘を確かめに独りでお参りすることがありますが、50代半ばのこれまで特に感じたことがありません。
霊感がにぶいのでしょう。
しかし、そんな私でも『事故物件怪談 恐い間取り』はゾッとしながら読んだのです。
恐い間取り
著者の松原タニシさんが実際に住んだ部屋の間取りが文章とともに書かれた本。
間取り自体は、1LDKとか1Kとかのアパートが多いですね。
家賃が安いといっても、東京ではさほどではないそうです。
事故物件でなくても、心霊現象が起こる部屋もあるし、事故物件でも気にしなければ普通に住める。
じっさいに暮している人は少なくありません。
松原タニシさんは芸人の仕事の一環として、自らが事故物件を探し、いろんな部屋に住んでみました。
仕事とはいえ、勇気がありますよね。でも、やはり知らず知らずに影響を受けていたことが本の最後に出てきます。
そして、モノクロ写真も本のページにはあり、それがまた不気味(-_-;)
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告知義務ありの物件
この本を読むメリットして、不動産業者の ウラ事情を知ることができます。
業者にしたら、空き部屋はなるべく早く埋めてしまいたい。
入居者募集中で備考欄に、下記のようなことが書かれているかどうか。
チェックポイントです。
- 心理的瑕疵あり
- 告知事項あり
もしも備考欄にそんなふうに表記されていたら、前の入居者が不慮の事故などで亡くなっていることを指します。
でも、探そうとすると、そんなに数は多くないとのこと。
大家さんがリフォーム中であることや、実際には貸すつもりがなくて、釣り物件となっているケースがあるからです。
釣り物件とは?
事故のあった部屋を破格の安さでネットや店頭看板に提示して、お客さんが食いついてきたら「ここは事故物件でして」と話し、お客さんがしり込みしたところで、本当に入居させたい物件に誘導する。
これが釣り物件。
たいていの人は、他人が亡くなった部屋に寝起きするのは、気持ちが良いことではないはず。
「そうか、安い部屋はワケありなんだ。じゃあ、家賃が高くても仕方がない」と納得しやすいのでしょう。
もっとも、事故物件で多いのは孤立死で『事故物件怪談 恐い間取り」によると、7割とありました。
となると、あとの3割は……。
首つりなど自殺や他殺ということに。
そういうことがあっても、めったに怪奇現象は起きません。
しかし、なかには起こるはずがない電気系統の点滅や音声の不具合、同じ場所でなんどもひき逃げに遭うなど、説明のつかないことがあったそうです。
人形のささやき
この本で私が興味深く読んだのは、姫だるまの怪です。
あの可愛らしい姫だるま。
金や赤の豪華な着物を重ね着して、飾り物としていいなあと、思っていました。
でも、松原タニシさんの『恐い間取り』によると、ある一部の地方でその昔、遺骨を中に入れたそうです。
それで、誰もいない部屋で話し声がするなあと不審に思い、ぱっと部屋の扉を開けたら、姫だるまが仲間の人形たちとささやきあっていたんですって。
古い人形を捨てた体験が私にはあります。
お清めの塩をかけて、ゴミ袋に入れたのです。
供養してもらうと、私の町のお寺さんでは1体につき5千円くらいするので。
今のところ祟りはありませんが、人形と怖い話は相性が良いみたい。
事故物件怪談 恐い間取り
著者 事故物件住みます芸人 松原タニシ
いろんな恐怖体験が掲載されています。
ところで、こちらの本の他に私が前に読んだなかで、強烈だった1冊があります。
ホラー小説の名手、小野不由美さんの残穢(ざんえ)住んではいけない部屋。
映画化された本。
小野不由美さんは怪奇現象を言語化するのが、さすがに上手い。
壁のなかから赤ん坊が徐々に姿を現す表現が、リアル過ぎて悲鳴をあげました。
ぎゃあああ!
生と死を考えること
『恐い間取り』と『残穢』は、部屋や土地にまつわる因縁を描いています。
でも、考えてみれば日本は戦時中に焼け野原になった地域が東京をはじめ沢山あるし、そのずっと前には戊辰戦争、さらには戦国時代など血で血を洗う戦が絶えなかった。
どこに住んでも、霊を感じてしまう人はいるのではないでしょうか。
気にしていたら、どこにもお部屋を借りて住めないかもしれません。
さて、『事故物件怪談』を書いた松原タニシさんは本の初めでこうおっしゃっています。
「あ、今自分は生きているんだな」
住むということは、そこで生活すること。生きていくことです。
死を身近に感じる事故物件に住むことで、『生きる』ことについて、より考えさせられたとのこと。
まとめ
恐くて怖くてゾッとしつつ読むのをやめらない『事故物件怪談 恐い間取り』のレビューをお伝えしました。
これから引っ越しを考えてお部屋探しの方に、参考になるところがあります。
でも秋の夜長の読書に、おススメしません。
遠い夜明けに眠れなくなる1冊なので、昼間に読むと恐怖が少しは薄れるでしょうか。
なかなかに面白い1冊です。
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