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不倫と略奪婚に苦しんだ母は、認知症になって穏やかな気持ちに

不倫・略奪愛

不倫と略奪愛

2024年3月22日更新しました

母が暮らす老人施設へ、台風19号の前に行きました。

78歳の母は60歳少し前で脳こうそくを患い、徐々に体の機能が衰えて、施設に入居。

認知症も発症しています。

しかし、独り暮らしの頃よりも表情はぐんと穏やかになり、不安や不満、過去のことも口にすることはありません。

私の父親が不倫し、愛人が妊娠したことより離婚に至った母。

そのことで長く苦しみました。

認知症により、ようやく恨みが消えたようです。

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不倫をした側の言い分

愛人

人の心に時効はない

母のことを書こうと思ったのは、ある60代の方と話したことがきっかけでした。

その方は、自らの不倫で幼い娘さんがいる家庭よりも、愛人を選び離婚しました。

しかし離婚が成立したのに、愛人にも去られた男性です。

30年前のことだそうですが、いまも愛人を想っていることが、言葉から伺えました。

愛人が去った理由は、罪の意識と娘さんへの養育費、そして男性の老親との同居問題。

愛人にしたら、心の呵責と養育費のことが、重荷に感じられたのでしょうね。

「娘には養育費をきちんと払ったし、離婚したことは悔いていませんよ。その後は勤めながら老母と暮らして、看取りをした後は独り暮らし。悠々自適ですよ、ハハハ」

60代のその方は、空笑いを響かせました。

強がって見せないと、もろく崩れそうな精神状態かもしれません。

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母は長く苦しんでいた

離婚

プライドも自信もズタズタに

さて、母について話すと、結婚は父が23歳、母が22歳でした。

時代は昭和39年の東京オリンピックを迎え、日本人が明るい将来を思い描いていたとき。

そんなふたりの間に生まれた私は、愛の結晶であるはずでした。

でも、私が3歳半のとき父の前に、魅惑的な女性が登場します。

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 当時20歳のその女性は縁談話が壊れて消沈していたと、後に実母から聞きました。

なんとその女性は、妻子があると知りつつ、父と深い関係になるのです。

いまでこそ不倫や略奪婚は、さほどセンセーショナルでありませんが、50年前の田舎町ではタブー(禁忌)そのもの。

 

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父と愛人は周囲の批判に耐えきれず、駆け落ち。

でも、お金が尽きてほんの1週間くらいで舞い戻ったそうです。ですが、愛人は妊娠しました。

私の母は泣き暮らして、父の気持ちが自分に戻らないことを悟ると、離婚に応じてしまいます。

慰謝料は父に金がないので、無し。

養育費も払えそうにないので、娘の私を手放しました。

50年前は女性がひとりで働いて生きることが今よりも困難でしたし、母の精神的なダメージが大きかった。

で、私は祖父母の家や、父と継母の家で育つことになります。

再会は20年後

離婚女性

20年ぶりに会った母は生活に疲れていた

私が母に会えたのは、生き別れてから20年後です。

私の結婚式にも、実母は出席できませんでした。

継母の手前がありましたから。

私に子どもが生まれて1歳になったとき、夫が車で母の暮らす町に連れて行ってくれたのです。

母の兄弟や姉妹は、孫を連れて会いに来てくれたと、喜んでくれました。

そのときは母の母、私には祖母にあたりますが存命して、「大きくなって」と、声を詰まらたのです。

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 会えなかった20年の間に、母はさらに苦労を重ねていました。

再婚し男児を儲けたものの、再婚相手と別れてシングルマザーに。

そのときの破局の理由は、夫のギャンブルによる借金癖。

つくづく結婚運がなかったのでしょう。

化粧気もなく、着ているものも地味でした。

しかし、母はそのときまだ45歳。

仕事を持ち、自活して、祖母の介護も担う立場でした。

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恨みは幸せを遠ざける

離婚

離婚した母は父の愛人を憎んでいた

 その再会から実母と私は毎年、会うようになりました。

母は初孫である私の娘をかわいがってくれ、いろんな話をしました。

そして、私はそれまで知らなかった父と継母の実像を、知ることにもなります。

  • 父が愛人に夢中になってしまったこと
  • 愛人の親から、「娘を傷物にしてどうしてくれる!」と恫喝され、いやがらせを受けたこと
  • 母が精神的に不安定になって、養育することができなかったこと。

母は何十年を経ても、生々しく語るんです。

自分の人生を狂わせた父と継母への憎しみの炎は、消えていなかった。

結果的に、その思いが母を幸福にしなかったんですね。

前向きに生きることができませんから。

「お前のせいだ!」略奪婚した後妻の家を…前妻の子供の復讐劇 | 富裕層向け資産防衛メディア | 幻冬舎ゴールドオンライン

前妻の子どもという立場は、なかなかにフクザツです。

認知症

独り暮らしができなくなる日

母が独り暮らしをしていたときは、電話をして話を聞くようにしていました。

多くはない年金を受給し、母はなんとか暮らせていたのですが、70代になるとだんだん被害妄想が激しくなる。

  • 近所のおばあさんが、意地悪で困っている
  • 親戚のだれそれが、ガンなどの病気になった
  • 将来、老人施設に入ることになったら、お金が足りなくなりそう……
  • 火事を出すといけないからと、叔父から炊事を止められ、お弁当ばかり食べている

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 とても不安な気持ちでいることが伝わって、電話を終えると私の胸もふさがれる気分。

そうしているうちに脱水で倒れて入院し、その後に叔父が施設に入居させました。

親切なスタッフに支えられ、母はようやく穏やかな暮らしを手に入れたように映ります。

私の顔はわかるようで、微笑んでくれます。

正当化する人たち

母の苦しみに対して、父と継母は「自分たちには一切、関わりがない」とでもいうように、立派な親を演じていました。

私には厳しい躾をして、口答えをしようものなら鉄拳制裁。 

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 自分たちは何も悪くはない、立派なのだと世間体を繕うことで、生きるしかなかったのかもしれません。

母と私は父たちに振り回されて、イヤな思いをたくさんしました。

不倫と略奪婚は、当人以外の関係者には迷惑このうえない。

しかし、当人たちにとっては甘美な若き日のあやまち。

美しく彩られ、年月とともにいっそう輝くこともあるのでしょう。

冒頭の60代男性の話に、そんなふうに思います。

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許せる時が来るまで

辛いことは早く水に流して、楽しく生きた方がいい。

わかっていても、できないときがあります。

心に時効はありません。

許せるときがくるまで、恨んでしまうものだと思います。

母にとって、脳こうそく性血管認知症がすべてを忘却の彼方へ押しやってくれました。

認知症もわるいことばかりではないように、母を見て感じます。

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まとめ

配偶者がいる人と深い関係になって、そのことを正当化する人たちがいます。

いろんな考え方があるので、一概に悪いと決めつけるわけにはいきません。

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ただ、私の母のように何十年たっても、心の傷を修復できないケースがあります。

そのことを知ってほしくて、不倫と略奪婚について、私見をお伝えしました。

 

 

 

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