2019/09/04更新しました。
私は夫とともに自営業で暮らしてきました。
国民年金の受給額はサラリーマンと比べると驚くほど低く、生涯にわたり働き続けなければなりません。
上田惣子さんの著書「マンガ自営業の老後」を読んで、自分が置かれた現実に体が震えました。
本の感想とフリーランスの老後についてお伝えします。
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無年金のゆううつ
『マンガ自営業の老後』は、イラストレーター上田惣子さんの体験に基づいた本。
深刻な内容なのに、ユーモアたっぷりで「クスッ」と吹き出す場面が多くて、読みやすい。
さて、夫婦ともにフリーランスという上田惣子さんは、50代になって仕事の依頼が激減しました。
気づいたら、イラスト依頼をしてくれた編集者が役職に就いたり、転職したり、退職したりで、いなくなっていたのですね。
年収はピーク時の3分の1というのですから、生活が苦しい。
そして、どんぶり勘定だったため、なんと無年金!
実は自営業者の中には、無年金という方がけっこういるそうです。
国民年金の納付率は62パーセント。38パーセントの人は払っていません(-_-;)
自営業者やフリーランスに定年はないので、働こうと思えばいつまでも働けるのですが、注文や顧客が減ると、年収は減ってしまいます。
おまけに税金や社会保険料の支払いは、待ってくれません。
自営業者の妻はサラリーマンの妻と違い、 国民年金の第1号保険者となり令和元年は月々16410円、年間196,920円を払う必要があります。
そのほか国民健康保険料もありますから、負担はずっしり。
しかし、自営業者は日銭が入ったり、大きな仕事のときは収入も多かったりするので、金銭感覚がゆるいことが少なくない。
著者の仕事が減ったのは、ガン治療のために1年間、療養につとめたこともあるのですが……。
90歳までの生涯収支
仕事がほしくてならない上田惣子さんの元に、本を作る仕事が舞い込みました。
それが、自営業者の老後・老後の乗り切り方。
著者はお金の不安を解消するために、90歳までのお金の流れをざっくり試算します。
そのためにまず手掛けたのが、家計の現状を洗いだすことでした。
プラスの財産
- 普通預金
- 定期預金
- 定期積み立て
- 財形貯蓄
- 株
- 保険
- 自宅
- 手元の現金など
マイナス財産
- 住宅ローン
- 車ローン
- 奨学金
- 借金など
毎月、チェックすると純資産がいくら増えたか解かります。
1年の合計収入からすべての支出を引いて計算すると、年間の収支が出ますね。
それを元にして、ライフプランを想定。
すると、具体的な数値目標がわかるでしょう。
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年金5万円で生きていける?!
若いときは羽振りがよくても、老いるに従って持ち金がなくなり、最後は生活保護に頼るしかなくなった……。
そういうケースは少なくありません。
商売が順調なときは、未来永劫に続くと信じて疑わないものですから。
かつて「マネーの虎」という番組があって、札束で人の顔を叩くような経営者が出演していましたが、事業に失敗した方もいるそうですし。
さて、本の中には年金5万円と少しのバイトで生きる、65歳の男性ライターが登場。
労働金庫に勤めていたころ、酒もたばこもギャンブルもしなかった友人が37歳で亡くなり、それを期に好きなことで生きたいとライター業に。
時はバブルで、仕事は降るようにあったそうです。
しかし、それが自分の絶頂期。
あとは下るのみですが、現在は収入の範囲内で生活して満足しています。
家はタダで住まわせてくれるので可能なのでしょうが、足るを知ることも大切ですね。
年金をあきらめるな
無年金だった著者の上田さんは、一念発起して50歳を過ぎて年金に加入。
加入すると5年さかのぼって納付することができました。
無年金でも50代なら、なんとか国民年金の受給に間に合うそうです!
それは10年間の納付から受給できることに制度が、変わったから。
たとえば55歳の人が加入し、さらに60歳~65歳まで任意加入すれば受給資格を満たすことは可能。
加入した時点で上田さんのように、さかのぼって納入することもできます。
国民年金を満額を納めた方とは、受け取る額はかなり少ない。
けれど、死ぬまで受給できますから、長生きリスクに備えることができるのです。
それと国民年金に加入することで、もしも障害を負ったとき障害者年金を受給できることも。
障害者年金は、ケガなど肉体的な障害や心臓病などとともに、うつや統合失調症になって、収入が途絶えてしまったとき申請できます。
なお、上田さんは民間の個人年金を若いときから掛けていたそうです。
マンガ自営業の老後
上田惣子さんの本です。
楽しく読めるマンガで、フリーランスの老後を解説。
カメラマン、デザイナー、カフェオーナー、ネイリスト、コンサルタント、ITエンジニアなどなど。
フリーランスが死ぬまで幸せに生きるために、できることを網羅しています。
国の制度を上手に利用
本では国民年金とともに、小規模共済や確定拠出年金もすすめています。
いずれも税務申告の時に計上すると、税金が割安に。
小規模企業共済は、零細な事業主のための共済で、積み立てたお金を廃業時や死亡時に受け取れます。
運用の金利は1パーセント余りなので多くはないけれど、元本割れしないのがメリット。
掛金は1000円~7万円まで自由に設定可能。
さいごに公認会計士の林總さんの言葉が載っていました。
「儲かったときこそお金の知識を学び、蓄え備える。
余裕のあるときこそふんどしを締め直すときです」
まとめ
私は住宅ローンを抱えて、教育費もかかっていたときは貯金ができませんでした。
60歳を間近にして焦っておりますが、お金は急には貯まりませんね。
こつこつと積んでいく。
余裕のある時ほどムダを見直して。
マンガ自営業の老後を読んで、悲観することなく今できることを粛々と進めていこうと思いました。
起業した方やフリーランスの方におすすめの『マンガ自営業の老後』感想と、国の制度についてお伝えしました。
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