重曹やお酢を使う「ナチュラルクリーニング」の研究家である佐光紀子さんの新書『「家事のしすぎ」が日本を滅ぼす』を読みました。
この本は日本人男性の家事や育児に対する考え方が、国際的にいかに遅れて、妻任せであるか、そして女性達も呪縛されて、疲弊の実態が書いてあります。
食事の手作り信仰がいまなお強く、それが少子化を加速させているというのですから、ゆゆしきことですね。
本の感想をお伝えします。
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☆完璧な家事の呪い
「家事のしすぎが日本を滅ぼす」の本は、私のような昭和の時代を知っている人間ほど衝撃度が大きいでしょう。
- 丁寧な暮らし
- 家事をきちんとこなす
- 母親として行き届いた子育て
- 手作り礼賛
- 断捨離
- シンプルな暮らしの流行
これらが母親への目に見えない圧力となっているのではないかと、本の冒頭で投げかけていました。
日本でもこの頃は、家事の外注化が進んでいます。
しかし、地方ではよほどのお金持ちしか、日常的に人を雇って家事を代行してもらうことはないでしょう。
そんななかで高齢者のお宅で、食事作りやそうじを介護ヘルパーが担うことが、ようやく認知されてきました。
でも、どうでしょう、同居のお嫁さんが専業主婦だったら?
高齢者本人やご主人が「うちの嫁にやらせればいい」と、思うかもしれませんね。
戦後しばらくまでの長い時代、日本は嫁の家庭での地位は低く、全くの奴隷だったと、本のなかで述べています。
かつての日本の3世代同居は、嫁にとって忍従の暮らし以外に、ほかなりません。
その意識の根深さが、本を読むと理解できます。
☆完璧な家事と少子化
日本は専業主婦を希望する割合が多く、若い女性のなかにはお金持ちの相手をゲットして、悠々自適の主婦ライフを送りたい人もいますね。
その一方で、社会で働いてバリバリとキャリアを積み、第一線で仕事を続けようと思う女性もいるわけです。
そして女性も4年制大学に進学することが、「ふつう」になりました。
けれども、妊娠中のつわりや、大きなお腹を抱えて通勤電車に乗り、出社するのは過酷です。
さらに、夫に家事分担を頼めるか。
深夜まで仕事という会社が珍しくない日本で、男に家事や育児も求めるのはムリだろう。
そんな考えを持つ人は多い。
それで結局、子どもを産む決心が付かず、40代に突入。
滝川クリステルさんのように、首尾よくお子さんに恵まれる方は幸運です。
妊活のために費用を投じても結局、妊娠にいたらずお子さんを諦める方も、かなりな数に上るわけです。
一方、子どもが生まれると、母乳信仰から手作りの離乳食、お弁当作りとステップアップ。
考えてみたら、日本の奥さん方が反乱を起こさないことのほうが不思議ですよね。
家事のしすぎが日本を滅ぼすの本には、アメリカと日本の専業主婦と の違いが書いてあります。
アメリカでは、ヒスパニック系の家庭のほうが専業主婦の割合が多く、世帯年収も低いそうです。
日本では、長らく主婦を家に縛り付けておく観念が主流でしたが、昨今の人手不足から、女性の就労を促す政府の広報が増えました。
ところが、働く女性が増えても、家事に対する男女の分担が進まない。
ここが課題となっているわけです。
共働きのためご主人が積極的に家事を担うケースはあります。しかし、年代によってはごく少数派。男子厨房に入らずの言葉を、忠実に守る男性が多いのですね。
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☆熟年離婚
「亭主、元気で留守が良い」は、有名なコマーシャルコピーです。
新婚時代を過ぎたら、ダンナさんにはよく働いてもらい、給料を家計に入れてくれたら、家での滞在時間は短いほうが良い。
そう思う奥さんは、少なくありません。
- 夫が口うるさい
- ささいなことでキレる夫
- お茶を入れろとか、食事の好みとかで妻は座る暇がない
- 家事の不手際を責める
以上の4つは、ほかのどこでもない、わが家のことです。
家事の不手際は、おもに家の片づけについて。
いまは減りましたが、かつては「家が散らかっている」「不要品を捨てろ」とずいぶん言われたのですよ。
しかし、夫が家事をしてくれるのは、ふろ掃除が年に1度と、お茶碗洗いが年に2度ほどしかありません。
ちなみに、私は専業主婦ではありません。
夫が営む自営業の専従者として、働いているんですね。
売り上げが下がったとき、外で働こうとしたのですが、夫が断固として「家にいてほしい」と許しませんでした。
結局、貧乏暮しを余儀なく……(-_-;)
『家事のしすぎが日本を滅ぼす』の本には、企業戦士だった夫が定年後に、家の中で粗大ゴミ化して、夫婦の危機が訪れることも書いています。
自分の身の回りの ことを妻任せにするので、妻がイヤになってしまう構図が見えてきました。
さらに、夫の親の介護も押し付けられたら、逃げ出したくなっても仕方がないでしょう。
卒婚
この本では、「食べさせてもらって当然、身辺の世話をしてもらって当然、と言う夫婦の依存関係をリセットし、互いに自由に過ごすこと」を、卒婚の定義とするそうです。
結婚している女性の過半数が卒婚を希望。
卒婚という言葉はきれいですが、単刀直入に言えば、定年で夫が毎日家にいるようになったら、別居したいと考えている妻が6割というのです。
これを解消するには、ただひとつ。 男性の家事能力を高めて、妻がいなくても生活できるようにすること。
わが家の亭主は、昭和の人間のため手遅れ。
ですが、イマドキの若いパパはけっこう育児や家事に、協力的なのではないでしょうか。
お子さんの検診や予防注射にも付き添うパパもいますね。
家庭円満のために、夫婦で力を合わせることが大切に違いありません。
まとめ
『家事のしすぎが日本を滅ぼす』を、目からウロコが落ちる思いで読了しました。
私自身、手作り信仰があったし、片づけができなかったことに負い目があったのです。
家事や育児の負担を、夫婦で分かち合うことができたら、少子化がすこしでも解消されるかもしれません。
そのためには、若い世代を応援しつつ、熟年世代の夫婦はそれぞれ自立することがポイントなのだと感じました。
ということで、考えさせられた本の感想をお伝えしました。
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