終活や老活というとまずは身の回り品を捨て、モノを減らして子ども世代に迷惑をかけないようにする心遣いが、大切だと言われがちです。
「シニアのためのなぜかワクワクする片づけの新常識」は、古堅純子さんが書いた新書版の本。
この本の最も特徴的なことは、捨てなくていい片づけ。
高齢者が無理してモノを捨てることのデメリットも解説された、この本の感想をお伝えします。
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片づけ新常識
「家にモノがあふれて、落ち着かない」
「不要品を今のうちに処分したい」
50代や60代の方は、断捨離のやましたひでこさんや、片づけの魔法の近藤麻理恵のやり方を取り入れて、シンプルライフを進めることが可能です。
なかには、最小限主義のミニマリストになる方もいるでしょう。
『シニアのためのワクワクする片づけの新常識』
著者の古堅純子さんは、1998年に老舗の家事代行サービス会社に入社し、さまざまな現場を経験しました。
整理収納コンサルティングや、家事効率化のための支援事業をなさっている方です。
捨てない片づけ
古堅さんはたくさんのお宅を訪問して、終活や生前整理のために、泣く泣く自分の趣味のものや、愛着ある品を処分されるケースをみてきました。
たしかに80代になると、片づけはむずかしくなります。
- 片づけの気力が湧かない
- 健康上の問題
- 筋力が衰えて、荷物を運ぶことができない
複合的な理由から、親族や家事代行サービスが手を貸すことが多いのでしょうね。
そして、地方に住む高齢者は、大きな戸建てに独り暮らしというケースが少なくありません。
子どもや孫は、めったに実家を訪れない。
なのに、たまに来れば娘が「モノを片づけろ」と、ガミガミうるさい。
それで、大量のモノを処分され、寂しさのあまり健康を害し、命を縮める高齢者がいるという文章に私はショックを受けました。
幸せに暮らすための片づけが、住む本人を苦しめたら周囲もいたたまれないでしょう。
- モノは捨てなくていい
- モノより大切なのは空間
お年寄りにとって過去の栄光や思い出が、大切な支えになる。
「これ、いるの?
いらないでしょ、こんなもの!」
古堅さんは、親子がケンカながら片づけをするシーンをよく目にしたそうです。
お年寄りは子どもに迷惑をかけないように、ジッとがまん。
そんな残酷なことを、実の子どもでもしてはいけないというのが、古堅さんの考え。
ただし、高齢者の家には、危険を感じるほどモノが詰まっている。
具体的にそんな時はどうすれば良いのでしょうか。
寄せる
長年、モノだらけの汚部屋に住んでいると、その状態に感覚が慣れてしまいます。
なかには虫が湧いたタッパーがテーブルに置きっぱなしでも、平気で日常を送るお年寄りも。
著者は緊急の策として、まずはモノを寄せることを提案。
- 床のあちこちに放置されたモノを、とりあえず部屋の片隅に寄せる
- 余裕があれば、物置部屋を作る
- あるいは、押し入れに押し込む
ポイントは短時間で、部屋の様子を変えてみること。
空間ができると、心が動く、人生が動く 。
まずは、スッキリ空間の心地よさを味わうことが大切なのですね。
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生活動線の確保
片づけで大切なのは、目標とゴールの「夢と希望」。
私自身は、娘の結婚と里帰り出産のための片づけをしました。
汚部屋育ちであることを、娘が恥じていたため、私は大がかりに捨て活。
そのときは50代前半だったので、奮闘できたに違いありません。
片づけのおかげで、娘の産後を心置きなくサポートできました。
孫娘は現在、2歳半。
「じいじ、大好き」
LINE電話でそう話すので、夫の目尻は下がりっぱなしです。
ところで、 高齢者の家の片づけで、大切なのは生活動線。
生活動線が整っていないと、家はすぐに散らかります。
- 洗濯物を干すところ
- 乾いた洗濯物を仕舞うところ
いちいち畳んで、タンスに仕舞うよりも、下着や肌着をボックスにざっくり入れ込むと手間要らず。
空き部屋があるのなら、ひとつをクローゼットにして衣服をラックに掛けっぱなしにするのも、アイデアとのこと。
衣類は床に置いたり、ソファに掛けたりは雑然としてしまうので、使う服はハンガーに掛けることを本では奨めています。
シニアのための なぜかワクワクする片づけの新常識 (朝日新書)
- 大量にあるモノを寄せて、空間を作る
- 生活動線を確保
- 寄せた物置場を確認して、自分に必要な量を知る
- モノの処分
本には具体的な片づけのコツが、たくさん載っています。
私は乾いた洗濯物が、リビングに集まりやすいので、生活動線のページは参考になりました。
片づけと掃除は生涯にわたり、必要な習慣ですね。
趣味に没頭したり、家族が集まり笑い合ったり。
そのための片づけです。
まとめ
がんばらずに一生、散らからない暮し。
ガンガン捨てることを、片づけでは推奨されがちですが、高齢になるほど本人は納得していないのかもしれません。
「捨てないよ。部屋の片隅に寄せるだけ」
そういう言葉で、すっきり空間の心地よさを知ってもらう。
親の家の片づけで悩む方が多い昨今、トラブル回避のコツが提案された1冊です。
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